そうした焦りにも感じられる言葉を目崎が発するのも、いままで見てきたようなノウハウを習得して、メガソーラー事業のコストダウンに自信をつけてきたから。将来は自分たちでファイナンスをして、自前のメガソーラーで大規模な発電事業をしたいという夢もある。そのためにはチャンスがあったら一つたりとも潰したくはない。

ウエストエネルギーソリューションの恩田が「システム単価は25万~30万円の間にまで下がってきている」と話すように、市場全体でコストダウンが進んでいることから、経産省は14年度の買い取り価格についても引き下げの方向で検討を進めている。

先ごろ、14年度・34円、15年度・30円へ引き下げる案が経産省内で浮上しているとの一部報道もあった。そうしたなか「プレミアム期間も終わりということなのだろうが、現在の37.8円と比べて2割ダウンは予想以上で正直にいってきつい」という悲観的な言葉が、改めて関係者の間から漏れ聞こえ始めた。

しかし、目崎は少しも動じることなく、「買い取り価格が30円になったとしても、いままで通り10年以内に初期投資を回収できるようにするメドはついている。これからも工法や設備の“部分最適と全体最適のバランス”に磨きをかけながら、5年以内にシステム単価を10万円台前半までに下げて、自分たちの目標である『Grid Parity for Sustainable Society』を実現したい」と語る。

設備認定を受けている2031万7000キロワットのうち、関係者がいうように3割しか稼働しなかったら、残り7割の1422万1900キロワットは“塩漬け”となる。それらを目崎たちのような低コストで安い買い取り価格に対応可能な発電事業に回していければ、ソーラーバブルを緩やかに収束させ、賦課金の負担増も抑えられるのではないか。

(文中敬称略)

(加々美義人、橋口辰也=撮影)
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