再生エネルギーの活用のなかでも特に注目されているのが太陽光発電だ。しかし、固定価格買い取り制度があだとなって、一部の発電事業計画が利権化してしまっている。バブル状態になった現状と、その解消に向けた取り組みを追う。

150億円の請求で頓挫した事業計画

太陽光発電の継続性に挑む目崎雅昭

日本メガソーラー整備事業社長の目崎雅昭たちが目指す、メガソーラー事業の継続性の確立の前には、コストダウン以外にもう一つ大きな壁が立ちはだかっている。それは売電する電力会社への「系統連系」という問題だ。発電事業者は設備認定の申請を経産省に行うのと同時並行で、売電先の電力会社と系統接続の申し込み・協議に入る。メガソーラーとつなぐことによって技術的な問題がないかを電力会社側が検討するもので、検討期間は通常3カ月。その間に設備認定がおりることが多い。

しかし、設備認定がおりたからといって、電力会社が系統連系を必ず保証してくれるわけではない。実際にどういうことが起きるかというと、系統連系を計画していた変電所の送電可能容量が満杯なので、違う変電所へ系統連系してほしいという要請がくる。送電線や鉄塔などの連系に必要な費用の負担義務は発電事業者側にあるのだが、電力会社が提示してくる費用がべらぼうに高い。

「電力会社の言い値は1キロメートル当たり1億円というのが相場。実際に携わった案件で、5キロメートルで5億円というケースがあった。しかし、自分のところで計算し直してみたら、2億円で済むことがわかった」と立命館大大学院客員教授の村沢義久は憤る。なかには「1キロメートル当たり2億円といわれたこともある」と打ち明ける発電事業者もいる。

そうなると、電力会社に正面を切って拒否されたわけではないが、コスト面で割に合わないという理由で、メガソーラー事業を断念せざるをえなくなることも当然出てくる。九州のある離島のメガソーラー事業で本土の電力会社へ系統連携しようとしたところ、海底ケーブル敷設という特殊事情もあって、50キロメートルでなんと150億円を請求され、あえなく立ち消えになったケースもあったそうだ。

この系統連系で目崎が特に問題視しているのが、転売目的で設備認定を取った案件に関してで、「ある変電所への申し込み・協議で連系OKになった後、そのまま店晒しになっていても、電力会社はその容量の分だけ押さえておかなくてはならない。後から変電所の近くの土地を活用してヤル気のある発電事業者が新たに申し込みをしても、容量がいっぱいということで実質的な“連系拒否”に遭う恐れがある。一刻も早く解消すべきだと」と強く主張する。