再生エネルギーの活用のなかでも特に注目されているのが太陽光発電だ。しかし、固定価格買い取り制度があだとなって、一部の発電事業計画が利権化してしまっている。バブル状態になった現状と、その解消に向けた取り組みを追う。
誰がやっても儲かる、高めの買い取り価格
メガソーラー事業の特徴を理解する意味も兼ねて、収益モデルの構造を見ておきたい。
収入であるが、100%売電収入で、「収入=実際の発電量×買い取り価格」となる。発電量に「実際の」という但し書きをつけたのは、日射量は天候次第で変わるから。収支計画を立てる際には、その場所の日射量がわかるNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の年間月別データベースなどを利用することが多い。また、ソーラーパネルは年が経つにつれて性能が少しずつ劣化していくので、そのロス率として0.5~1.0%ほど見込んでおく。
一方のコストだが、大きいのが太陽光パネル、それを載せる架台、ケーブルや工事関係などの初期投資にかかわるものだ。その初期投資には、送電線や鉄塔といった電力会社に送るための系統連系の費用や、土地を購入した際の費用も初期投資に含まれる。一方、土地を借りた場合の賃借料は、太陽光パネルなどの設備のメンテナンス費用や発電事業を運営していく費用とともに、ランニングコストとして見積もっておく。
図2は1メガワット規模のメガソーラーを想定し、毎年の売電収入からランニングコストを引き、その残ったフリーキャッシュフローの見込み額を横軸に時系列を取って並べたもの。また、そのフリーキャッシュフローで初期投資をカバーしていった結果を示す累計キャッシュフローの変化が、折れ線グラフで示されている。このケースでは、10年目で回収が終わり、翌年以降からは利益が積み上がっていく。つまり、メガソーラー事業は売電収入による回収型の収益モデルなのだ。