最近話題の「エコ住宅」、広く定義するなら「地球にも人にも優しい住宅」だが、ここでは特に「CO2と光熱費の両方を削減できる」最新エコ住宅事情について書いてみたい。

欠かせないのが住宅の(1)高断熱・高気密仕様、(2)設備機器の高効率化。(1)は断熱性能の高い窓に変更するリフォームなどで、(2)はエコキュート(ヒートポンプ技術を利用し空気の熱で湯を沸かす電気給湯器)や消費電力の少ない家電といった設備を取り入れること。

しかしこれらの「省エネ」だけだとCO2で3分の1、光熱費は半分に削減するのが限度(セキスイハイム資料)。そこで考えられたのが「創エネ」をプラスすることであり、その装置として政府が積極的導入を決めたのが太陽光発電なのである。(1)(2)に創エネを加えれば、計算上は住宅から出すCO2を8割カット、光熱費はゼロにできるという。

消費者にも太陽光発電は注目されているが、その主な理由は2つ。今ならコスト上のメリットが大きいことと、リフォームでも取り入れやすいことだ。現在、初期費用に対しては国、自治体からの補助金やローン減税が適用されるし、運用費に対しては2009年11月から始まった固定価格買い取り制度により、家庭で発電した余剰電力を電力会社に売ることができる。

※電気契約:(導入前)従量電灯B・30A、(導入後)電化上手・10kVA・オール電化割引・機器割引

「洞爺湖サミット後、政府が太陽光発電をバックアップしたのは温暖化対策が目的でしたが、さらに経済対策という目的も加えられ、この方針はまだ続くと思われます」

と話すのは、太陽光発電搭載実績業界ナンバーワンのセキスイハイム。では実際に省エネ住宅を建てた人は本当に光熱費を削減できているのだろうか。同社で新築したお宅を訪ねた。

千葉県の永島さん夫妻が2007年に新築した住まいは延べ床面積約35.9坪。高断熱・高気密仕様にオール電化、エコキュート、太陽光発電搭載という現代のエコ住宅だ。年間の光熱費は図1の通り。新築後は余剰電力を売った後の金額がプラス収支となっている。