楠木 建教授が分析・解説

修羅場を乗り越えられるかどうかの原点には、自分の好き嫌いみたいなものがあるように思う。

やらされているのではなく、自分アウトの好きなことをやっている範囲では修羅場も乗り越えやすい。

「今が修羅場だぞぉ」などと内心喜んだりして、建設的マゾヒズムみたいなところがある。

自分アウトの行動と修羅場体験がつながって、それを見事成し遂げたときの達成感にフィードバックがかかると、やり抜く力になりやすい。

「ホンダはものごとの本質を本当に真面目に議論する会社」というくだりは、ホンダのやり抜く力の源泉を言い表している。前述したように、具体的な目標ばかり追いかけても本当のやり抜く力は出てこない。その向こう側にある本質、我々が提供する価値は何かという本質を追い求めることが大事。本質に迫ろうという努力に終わりはない。

一橋大学大学院国際企業戦略研究科(ICS)教授 楠木 建
1964年、東京都生まれ。92年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。2010年より現職。著書に『ストーリーとしての競争戦略』『戦略読書日記』。
(総括、分析・解説=楠木 建 構成=小川 剛)
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