ただし、こうした表情はきわめて微かにしか表れないのが普通だ。相手の本心を知りたければ、この「微表情」を見逃さないために相手の表情の変化に全神経を集中する必要がある。
ただし、あまりにも集中して人の表情を観察していると、「因縁をつけてる」と誤解されることがあるから、くれぐれも注意しよう。実際、私は訓練のつもりで人の顔を凝視していて、唾を吐きかけられたことが何度かある。
さて、表情についてもうひとつお話ししておきたいことがある。もしいま、全種類のお札を持っていたら、それを縦一列に並べてみてほしい。人物の顔の左側が目につくようにデザインされているのがわかるだろう。理由は、人間の情感は顔の左側により豊かに表れるからだ。左半面の表情を活写しようと思ったら、人物をお札の右側に配置したほうが都合がいい。
ご存じのとおり、感情を司るのは右脳であり、右脳の影響は体の左側に出る。だから左半面は表情が豊かなのである。したがって、意中の人に告白するときは、カウンター席ならば相手の右側に陣取って、左半面の表情を見せるとよい。巧まずして、自分の素直な感情を相手に伝えることができる。一方、右半面は理性的な冷たい印象を相手に与えるから、別れたい相手の場合は左側に座るほうが得策と言えるかもしれない。
【怒り】眉の内側が下方に下げられ、互いに引き寄せられるため、眉間に縦じわができる。黒目は上方寄りで白目の面積が多くなる。
【恐怖】上まぶたが上がって、下まぶたがこわばる。
【驚き】眉が上方に持ち上がる。目が点になる。あごが真下に下がる。
【悲しみ】眉と目がハの字型。
【喜び】ほおが持ち上げられるため、目じりに横じわができる。
【嫌悪】眉が逆ハの字、鼻の周辺のしわが下から上に寄るようになる。
【軽蔑】右か左、どちらか一方の口角を耳の方向にわずかに引いてプレスする。