孫の将来を考えても長女の自立は不可欠
今、第一に考えるべきことは、娘の経済的自立を助けることだ。北川さん夫婦が孫を預かり、その間に娘が職を探す。今すぐ仕事が見つからないなら、資格取得の勉強をしたりハローワークの職業訓練校を利用してもよい。長女は現在32歳。このまま年齢が上がれば、職を見つけるのはますます難しくなる。早く自立できるように支援することが、本人のためにも孫のためにも何より重要だ。
北川家の現在の家計は特にムダ遣いしている部分もなく、本来ならどこにも問題のない状況。だが、娘や孫にお金を残してやりたいと考えるなら、もう少し引き締めて少しは貯金できるようにしたほうがいい。食費をはじめ、各支出項目を検討してカットできるものをチェック。さらに家計管理も強化して、月8000円ある使途不明金をなくすよう心がけたい。
生活費を今後どれだけ援助するのか、娘とよく話し合うことも重要だ。そのうえで、特に膨らみがちな教育費については予算を決めておいたほうがいい。
老後資金3000万円の運用については、銀行預金などリスクのない商品を中心とするのが基本。あっという間に半減してしまった投資信託については今さら悔やんでもしかたがない。当面、使う予定のない資金なら、今後はときどき値動きを確認して回復したときに売却を検討するといいだろう。もしそれすら難しいというのなら、投資商品はやめて、銀行預金や個人向け国債にしたほうが無難だ。
退職金を受け取った人は金融機関にとって格好のターゲット。相手にいい顔をしたい人や断るのが苦手な人は最高のお客様だ。最近は商品性の複雑な商品が増え、わからないまま高いリスクのある商品を買ってしまう例も少なくない。どんなに熱心に勧められても、自分で理解できないような商品には手を出さないことを胸に刻んでおきたい。
●安心老後への道
1.長女の経済的自立を支援することを最優先
2.それまでは貯金できる家計態勢をつくる
3.金融機関のセールスをうのみにするのは厳禁