●西谷さんの悩み
【家族構成】[夫]60歳 元エンジニア[妻]58歳 専業主婦[長男]28歳 大学院生・会社員[長女]19歳 大学1年生【月収(手取り)】夫 33万円[給与24万円・年金(報酬比例部分)9万円]、妻 なし【貯蓄額】2500万円【ローン残債】500万円(住宅ローン)
機械メーカーでエンジニアとして働いてきた西谷さんはこの春に定年退職。再就職先もすんなり決まり、厚生年金(報酬比例部分)と合わせて月33万円の収入がある。夫婦2人なら十分に暮らせる金額だが、問題はまだ大学1年生の娘がいること。収入が減った中での教育費の負担は重く、妻が家計引き締めに努力しているものの、毎月5万円以上の赤字が出ている。
理科系の長女が大学院へ進学する可能性が高そうなことも、内心では気がかりだ。現在の貯金は退職金1500万円を含めて2500万円。ここから住宅ローンの残債500万円を繰り上げ返済してしまうべきかどうかも迷うところだ。
●ファイナンシャル・プランナー 浅田里花さんのアドバイス
西谷家のように、親が定年を過ぎても教育費のかかる子がいる家庭は少なくない。結婚年齢は年々上昇が続いているため、もっと下の世代では、こうした例がさらに増えているはずだ。
30代後半を過ぎてから生まれた子どもが大学を卒業する頃には、親は50代後半~60代になっている。教育費が終わってからでは、老後資金を準備することは不可能だ。
ただ、それは子どもが生まれた時点ですでにわかっていること。だからこそ、こうした家庭では、子どもがまだ小さくて教育費のかからないうちから計画的に教育資金と老後資金の準備をしておく必要がある。
西谷家では、長男の大学卒業と同時に老後資金の準備を開始。退職金と合わせて現在、2500万円の貯蓄がある。ただ、住宅ローンの残債がまだ500万円あること、教育費があと3年以上かかることを考えれば、決して余裕のある金額とはいえない。年金生活に入る65歳時点で2000万円の老後資金を確保するには、これ以上の貯金取り崩しは避けたいところだ。