●東山さんの悩み
【家族構成】[夫]61歳 元中堅企業部長職[妻]57歳 パート勤務[長男]30歳 独立[次男]28歳 独立【月収(手取り)】夫 12万円[年金(報酬比例部分)8万円・アルバイト4万円]+妻 5万円 計17万円【貯蓄額】1500万円(住宅ローンは退職金で完済)

現役時代はヤリ手部長として知られていた東山さん。再就職の話は年収もポストも気に入らず、あっさり断ってしまった。「失業給付を受け取りながらゆっくり探せばいい」と考えたのだが、気に入る就職先はまだ見つからない。失業給付が終わった今は、友人の事務所の仕事を手伝って月4万円ほど謝礼を受け取っている。収入はこのほか厚生年金の報酬比例部分が月8万円程度と、妻のパート収入が月5万円ほどあるだけだ。貯金を取り崩す生活に、かなり焦りを感じ始めている。

●ファイナンシャル・プランナー 浅田里花さんのアドバイス

60歳の定年退職から年金を受け取る65歳までの5年間にどう収入を確保するかは、安定した老後を迎えるための最大の鍵といっていい。

現在61歳の東山さんが年金を満額受給できるのは65歳からで、あと4年間もある。現在、貯金から毎月6万8000円を取り崩して生活費を補っているが、このままあと4年間続けると、300万円以上も貯金を取り崩すことになってしまう。現在の貯蓄額1500万円が1200万円まで減ってしまっては、65歳以降の生活がやや心細くなってしまうかもしれない。

現在の生活を支えているのは何といっても妻のパート収入だ。教育費にメドがつくと妻がパートを辞めてノンビリしてしまうケースは多い。だが、妻は勤務時間を減らしたものの、ずっと仕事を続けてきた。年齢が高くなれば新たなパート先を見つけるのは難しく、この選択は非常に正しかったといえる。