罹患時、民間保険に入っていなかったおひとり様女性は9%と少ないが、男性は26%が無加入。結果、おひとり様男性の68%が、治療費などの経済的負担に「預貯金からの補填」で対処している(女性は31%)。切り崩し型生活を強いられ、経済的に困窮する患者は少なくない。天野さんも「僕が病気になったとき、人生設計は全くしてなかった。貯蓄は100万円もないのに、初回治療にかかったのは120万円。後で還付されるけれど、まず現金で払う必要があったので、親族から借りました。貸してくれなかったら、完全に干上がっています」と振り返る。

貯金も、保険もない。休職期間の収入は保証されず、各種出費にくわえて、前年度所得に基づいた税金も請求される。結果、治療費が払えず、いきなり生活保護という人もいるという。

「医療費は安くなるけれど、みんな嫌がります。プライド持って働いてきたのが、『何でがんになって生活保護受けなきゃいけないんだ?』と思う。でもお金はない。もう右にも左にも動けないんです」(桜井さん)

今や日本人の2人に1人はがんになる状況。罹病したときのため、おひとり様はどのような準備をすべきか。桜井さんは「がん医療はさらに高くなるので、貯蓄のない人は安いのでいいから保険は入っておくべき」と強調した。

「一時金で300万円もらえる保険に入れば、高額療養費制度で年間100万円かかるとしても、治療に3年通えるからクッションになる。1番しんどい時期は乗り切れるはず」

また、すでにがん保険に入っている人も見直すべきだという。

「昔の保険は入院日の日額計算が多いのに、最近の入院は数日。『保険金がもらえない』と泣いている人がたくさんいます。外来を保証している保険がいいでしょう」(天野さん)