評価に納得できないからといって、周囲に不満をぶつけても、何の役にも立たない。場合によっては、自分に不満を向けて思い悩むこともあるだろう。不満を抱く前に、分析をしてみたほうがいい。なぜあいつは評価が高いのか。自分に足りないものは何なのか。自分の成果に対して、悲観や楽観ではなく、「客観」であたる。ときには成果の出せないこともある。「そんなこともあるさ」と淡々と客観視できる人のほうが伸びる。
そのとき注意すべきなのが、「評価」と「評判」の違いだ。『会社人生は「評判」で決まる』(相原孝夫著)という本がある。評判を軸に会社員の処世術を諭す相原さんの考えに、私は深く共感する。自分の評判を聞く耳がなければ、高い評価を得ることはできない。
私のサラリーマン時代に、営業成績は抜群なのに、なぜか課長に昇格できない人がいた。不思議に思った彼は、上司に「なぜ私は課長になれないのでしょうか?」と質問した。すると上司は「おまえ、部下に『ハイエナ』と言われているのを知っているか?」と答えたという。死肉を貪るハイエナのようにあざとい態度で仕事を続けているうちに、社内での「評判」は地に堕ちていたわけだ。そんな人間を取り立てれば、その上司の評判にも傷がつく。
事務や総務の派遣社員にぞんざいな対応をしていないだろうか。役職で人を差別するような人間は必ず嫌われる。その評判はきっと管理職にも届いているだろう。
自分の評価に不満があるからと、不確かな裏技に走ってはいけない。会社人生では苦しいこともある。それでも、まずは正攻法で前向きに戦うことを勧めたい。
1974年生まれ。一橋大学商学部卒業。リクルート、玩具メーカーなどを経て独立。著書に『大学生のための「学ぶ」技術』『「キャリアアップ」のバカヤロー』、共著に『女子と就活』などがある。