2008年、「花と屍」を仏ルーブル宮内国立装飾美術館で発表。

【猪子】新しいものをつくりたいからかなあ。

【田原】新しいものって、どういうもの? たとえばDeNAとかグリーはゲームをつくっていますが、猪子さんのところはやってないの?

【猪子】うん、関係ない。

【田原】ソーシャルゲームはつまらない?

【猪子】だってやらないもん、おれ。

【田原】そうすると、新しいものをつくるって何だろう。あまりにも広すぎて、僕らみたいに古い人間にはわからないところがある。

【猪子】そう、広いんです。すべての領域が我々の領域といっていいかもしれない。映像見てもらったほうが早いかも。たとえば最近だと、テレビの生放送の歌番組で、画面に音符を出して、視聴者がそれに合わせてスマホを叩くという音ゲー(音楽やリズムに合わせてプレーヤーがアクションを取ることで進行するゲームのこと)ライブというものをやりました。140万人近くが同時にテレビに参加したのは世界記録でした。

マネジメント能力がある人が組織のトップに立つべきでない

「Nirvana」。伊藤若冲の升目画の表現の作品をモチーフにしたアート作品。
(※若冲の升目画に、直感的に感じるデジタル感をフルハイビジョンの8倍の解像度による圧倒的上表量のアニメーションで表現。)

【田原】こういうクリエーティブな発想は、猪子さんが持っているのかな?

【猪子】いや、チームラボが持っている。

【田原】猪子さんは何をやってるの?

【猪子】僕もチームの一員です。僕もクリエーティブだし、作り手。要するに僕1人がやっているわけではなくて、この場所が生み出している。

【田原】じゃあ社長なんて辞めてしまって、1人のクリエーターとして活動すればいいじゃない。

【猪子】1人じゃできないですよ。いまは仕事の内容が細分化しているから、1人の専門職がすべてを考えられることはない。でも、専門職じゃない人が考えるのも無理です。テクノロジーがわからないと、それを使っていま何ができるのかもわからないから。

【田原】そこをちょっと説明してほしい。