オリジナル製品で試行錯誤

八潮の通販センターに設置された、アッセンブリーの製造装置。

仕入れを、商品を、セキュリティを、2ちゃんねるを楽しそうに語る辻本氏。だが、売り上げの柱であるIC関係も汎用的な商品の価格が徐々に下がり、利益率は落ちている。対抗策として始めたのが、オリジナルの基板アッセンブリーだ。

【辻本氏】オリジナルにして価格競争に陥らないように付加価値を出そうと、1億円の費用をかけて2011年から始めました。どこかの紐付きじゃないし、最低3000はつくりますから、1回で数百万円はかかる。リスクはそこですね。将来的には、他の電子部品専門店に別ブランドで卸すことも考えています。

正直、最初は売れるか売れないかを考えずにどんどんつくったんですよ。それで実際よく売れたしね。でも、いまはやってみないとわからないというケースが多いので、テスト的に小ロットでつくったり、オリジナルをつくる前にメーカーの純正品をちょっと売ってみて、売れたらウチでつくったりしています。あ、考えたらけっこう工夫してますね。メーカーからも置いてほしいとか、コラボしたいという依頼もありますよ。これも知名度と集客力のおかげかなあ。

アッセンブリーの先には、辻本氏の壮大な夢が広がっている。半導体工場だ。電子部品の小売店が半導体工場をつくるなど、いったい誰が想像するだろう。だが、辻本氏は真剣だ。高揚した口調が「本気度」を物語る。

【辻本氏】ウチも次の「矢」を用意しないとね。オリジナルのセミコンダクタができたらすごく楽しい。試作の形で、1インチウエハをつくりたい。これは昔からの夢ですね。といっても、投資額がアッセンブリーの比じゃないから大変です。クリーンルームも必要だし、どれだけ金額がかかるのかなあ。アッセンブリーよりも一桁は多くなるでしょうし、需要がどれだけあるのかも読めませんが、アッセンブリーが完全に軌道に乗って、借金が返済できたらやってみたい。みんな、やりたがりませんけどね。4、5年のうちに実現させたいですね。半導体がつくれたら世界に打って出られるかも。そのためには、天才くんがウチに就職してくれないとね(笑)。