『ガチョウと黄金の卵』の逸話
もう1つの基礎原則は「効果性の原則」である。
英語では望む結果をProduction、目標達成能力をProduction Capabilityという言い方をする。効果性の原則とはこれら両者のバランスのことで、『7つの習慣』ではP/PCバランスと呼んでいる。
誰でも望む結果Productionを持っているだろう。多くの自己啓発書はそこにフォーカスしているが、同時に目標達成能力たるProduction Capa bilityを高めていかなければ、望む結果を得続けることはできない。
P/PCバランスの重要性をよく伝えているのが、イソップ童話の『ガチョウと黄金の卵』である。貧しい農夫が1日に1個、黄金の卵を生むガチョウを手に入れ金持ちになったものの欲が出て、ガチョウを殺して腹の中の卵を一気に手に入れようとした。しかし、いざ腹を開くと中は空っぽだった――。
ここで金の卵はProduction、金の卵を生むガチョウはProduction Capabilityに置き換えることができる。黄金の卵を追い求める気持ちが強すぎて1日1個で我慢できなくなったのは、P/PCバランスが崩れた状態といえよう。
人はしばしば黄金の卵に対する意識が強すぎて、黄金の卵を生むガチョウを疎かにしてしまう。仕事で成果を出すために徹夜を続けて健康を損なうのはその例だろう。最終的に望む結果を得続けるようにするには、仕事に没頭するだけでなく睡眠や栄養を充分とったり必要な知識を蓄えたり、きちんとガチョウの世話をする必要がある。
逆にガチョウの世話を焼きすぎて黄金の卵のことをまったく考えなければ、自分自身もガチョウも食べていけなくなる。
効果性をテーマとする『7つの習慣』において「効果性の原則」、すなわちP/PCバランスは核になる原則である。