遊び心溢れる米グーグル本社。カラフルな自転車は敷地内を自由に乗れる共有物だ。(AFLO=写真)

仕事も同じ。このプロジェクトに社運がかかっている、と緊張してしまうのはある程度仕方がない。しかし、緊張したままでは、最高のパフォーマンスはできない。むしろ、集中しているけれどもリラックスもしている「フロー状態」のときに、脳は最大の能力を発揮し、創造的にもなる。

毎日の仕事を、まるで遊んでいるかのようにやる。これが、1つの理想である。グーグルという革新的な企業がもたらした働き方のイノベーションは、まさにそこにあると思う。脳科学的な観点からも、理に適っている。問題は、それが、なかなか実現しにくいということだろう。

「仕事」を「遊び」のようにやるということは、理想だが、実現するためにはいくつかハードルがある。例えば、「失敗」を許容する風土。遊びは、当然うまくいかないこともある。そのようなとき、減点主義だと萎縮してしまう。

そして、メンバーの高い知識、スキルと、目標意識。大人が会社の仕事としてやる「遊び」は、当然社会性をもつ。精神は子供の遊びと同じでも、技術は高度化する。自分たちは最高の成果を出すのだという、強い動機付けがなければ、よい「遊び」はできない。

結局、仕事を「遊び」としてやるためには、かなりの努力がいるということになる。

「遊び」は、手を抜くということではない。ラクをするということでもない。むしろ、自分のありったけの生命力を、仕事に注ぐということだ。

日本でいえば、高度経済成長時代の「モーレツ社員」こそが、1番遊んでいたのかもしれない。アベノミクスで経済好転の兆しが見える今、よい意味での「遊び」の精神を日本に取り戻したい。

(写真=AFLO)
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