Q.会社員のBさん(38歳)は、妻(35歳)と共働き。子どもはなく、Bさんの両親と同居中。住居費も教育費もかからないうえに、夫婦合わせた年収は800万円あるので、家計に余裕があるはずだが、出費が多く資産形成は思うように進んでいない。現在の保有資産が約700万円あるので、このうち200万円はいざというときのために手元に残し、500万円を老後資金のために増やしたいと考えている。
【家族構成】[夫]38歳 会社員 年収500万円(額面)[妻]妻35歳 会社員 年収300万円[子ども]なし
教育費が不要な分、積極投資に挑戦を
Bさんがまず考えるべきは、(1)生涯、今の家に住み続けるのか、(2)相続が発生した場合に、他の兄弟に分割する資産はあるか、の2点。この先、親の家を出て暮らす可能性があるのなら、住居費の手当てが必要になる。親の家に住み続けるとしても、資産が自宅しかなければ、相続時にほかの兄弟ともめないよう、代わりに兄弟へ渡す資産を用意しておく必要があるかもしれない。
これらがクリアできたとして、Bさんの資産運用を考えると、積極的な投資で高いリターンを狙ってよい環境にある。教育費が必要ないし、老後までの時間も十分あるからだ。
手元資金として200万円を定期預金で保有する前提であれば、運用資金500万円は、高いリターンが期待できる海外資産ですべて運用してもいい。この場合、海外資産比率が高くなるので、今後の貯蓄は円資産で積み上げてバランスをとる。共働きで教育費がかからないBさんなら、毎月の貯蓄も容易なはずだ。
保険は、子どもがいないので収入保障保険は不要。変額終身保険のみ用意しよう。今後子どもができる可能性があるなら健康なうちに加入しておくのもいいが、保険料負担が大きすぎない、1000万円程度のものがいいだろう。
[資産運用]積極運用が可能な環境にあるので、500万円すべてを海外資産に投資して、高いリターンと通貨分散効果を狙ってもいい。その場合、先進国7割、新興国3割に振り分けてリターン向上を図る。新興国は先進国より値動きが大きいので、株式と債券を組み合わせてリスク分散を図る。先進国は、新興国よりも値動きが安定しているので、債券よりも高いリターンが狙える株式を中心に選択する。
[保険]この先も子どもなしということであれば、高額な死亡保障は不要。葬式代に充てる変額終身保険300万~500万円と、入院日額5000~1万円の終身医療保険でOK。今後もしかしたら子どもをもつ可能性があるなら、1000万円程度の定期保険に加入しておく方法もある。
【POINT】親の遺産相続時の対策も視野に入れておこう/仲のいい兄弟であったとしても「相続が発生した途端に争いになった」というのはよくある話。もし兄弟がいて、Bさんが自宅を相続するのなら、兄弟には、代わりに渡す資産を用意しておくべき。預貯金などがあればいいが、自宅以外に資産がなければ、親に生命保険に加入してもらうなどして、分割するための資産をつくることも考えよう。
(※図版は取材をもとに編集部作成)