貯蓄ゼロの世帯が3割に急増

2012年春、金融広報中央委員会から衝撃的なアンケート結果が発表された。11年の「家計の金融行動に関する世論調査(2人以上世帯)」で、貯蓄がないと答えた世帯が28.6%に達したという。

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図1 失われた20年で貯蓄のない世帯が急増

貯蓄がない世帯の割合は、1990年代には10%前後だった。00年代に入って20%台に急上昇、それでも10年までは20%強の水準を保っていたが、2011年になって一気に30%近くまで跳ね上がったのだ(図1参照)。28.6%といえば、3~4人に1人の割合。前年まではほぼ5人に1人の割合だったのだから、この変化はただごとではない。

「やはり東日本大震災の影響が大きいと思います」

と説明するのは「家計の見直し相談センター」で相談を行うファイナンシャル・プランナーの藤川太氏だ。

「家計相談を行う中で、震災後に残業が減ったり給料やボーナスが減った、さらには会社が倒産してしまった、といったケースが増えていると実感しています。収入が減る中で、貯蓄を取り崩さざるをえなかったということでしょう。こうした厳しさは、東日本に限らず全国的に広がっているようです」(藤川氏)

この厳しさを裏付けるように、調査結果でも貯蓄額が減少。全世帯のうち真ん中に位置する世帯の貯蓄額を示す中央値は、10年の500万円から11年には420万円まで16%も激減した。ただ一方で、全世帯の貯蓄額の平均値は10年の1169万円から11年には1150万円と、2%程度しか減っていない。