一般に人の話を聞く能力は女性のほうが高いのではないでしょうか。部下に相談を受けた場合、男性上司の中には話を最後まで聞かないで、解決策を提示したがる方がいるかもしれません。特に女性部下の場合は「解決よりまずは話を聞いて共感してほしい」という願望が強いですから要注意です。きちんと話を聞く姿勢を見せたうえで「あなたの気持ちもわかるけど、会社の立場もあるので、双方の妥協点を見つけませんか」というふうに全体像を示して提案するのがいいのではないでしょうか。

「あなたの話したいことの焦点はなんだと思う?」と相手目線で話を整理する手伝いをしてあげるのも1つの手です。

時間がないときに長くなりそうな相談がきたときも注意が必要です。「忙しいから後にして」と無碍に突き放すような態度を取り続ければ、部下は「この人には報告しても何も聞いてもらえなかった」と感じ、報告そのものが上がってこなくなる可能性もあります。

こんなときは「今、5分くらいしかないけどいいかな?」とタイムリミットを示してはどうでしょう。相手も最初から手短にまとめようとするはずです。それでも話し足りない様子が見受けられたときは、「後で時間を取るのであなたの都合を教えて?」と代案を出してみては。相手もこの人には自分の話を聞く気があるのだなと安心して立ち去るでしょう。

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キーワードは「共感」と相手目線でのソフトランディング

同じ話を繰り返しされる方もいますよね。男性の場合はたいてい自慢話だったりするのですが、比較的年配の方が多いかしら。このとき「その話はもう何度も聞きました」といってしまっては、ご本人は話したことすら忘れているかもしれないので、たちまち不機嫌になるでしょう。たとえば「その話、傑作でしたよね」といったふうに持ちあげる形で返してあげるといいんです。そういわれれば本人のプライドを傷つけないで、前に話したことを思い出してもらえ、自然に話を控えようとするのでは。

相手目線で方向転換させてあげれば、自然に話を終わらせることができると思います。

銀座クラブふたご屋ママ 
ますい志保

鎌倉市北鎌倉生まれ。1992年、明治大学文学部卒。94年、銀座に会員制クラブふたご屋をオープン。『いい男の条件』『赤い蝶々』など著書多数。
(構成=鈴木優子 撮影=大沢尚芳)
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