これに対し櫻井は、「自分が考えた企画が採用され、店頭で実現したときの面白さを感じるようになりました」と、行動していくうちに仕事への自信と手応えをつかんでいった様子だ。

「どうしても決めたい商談では、縦のストライプが入った白いブラウスを着ます。相手が首を縦に振りやすくなると心理学の教授が話していたのですが、これは有効です。逆に横ラインの黒い服はNG」と櫻井。前橋には、日産ADバンを運転してほぼ毎日通うこともある。本社には寄らず、両親と住む板橋区の自宅から、そのまま首都高や関越道を使うこともザラだ。都内から前橋まで片道2時間。関東を中心に車を使い、担当するベイシアや競合店の売り場を回ることも多い。営業とは、現場を巡る移動でもある。移動の効率が求められる。

谷口は「困るメーカー営業マンは、押し売りのように自社のことを優先する人。我々には、地域のお客様に、品揃えをして商品を提供する責務がある。お金ではなく、当社の来店客のためになる企画提案のできる営業マンを本当に求めているのです」と話す。

(文中敬称略)

櫻井桃子
サッポロビール広域流通本部広域営業統括部第3営業部。首都大学東京の大学院理工学研究科で遺伝子学を学び、2011年入社。
谷口剛士
ベイシア食品事業部グロサリー部バイヤー。2005年入社。酒類をメーンに担当。写真はベイシアスーパーセンター前橋みなみモール店にて。
(永井 浩=撮影)
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