「ユニクロ」の国内売上高は約8647億円だ。この数字の意味を説明するには、どうすればいいか。経営コンサルタントの斎藤広達さんは、「大きな数字を1人当たり、1個当たりに直す『@変換』を使うといい。そうすると日本人は1人当たり年間8600円分のユニクロを買っていることがわかる」という――。

※本稿は、斎藤広達『数字で話せ』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/winhorse)

数字を「自分事」にして伝える

数字が苦手な人が、数字を効果的に用いて話を展開するためにはどうしたらいいのか。そのための第一歩は、あらゆる数字を「自分事」として捉えることです。

世の中にはあらゆる数字が飛び交っています。

・日本の国家予算101兆円
・GDP550兆円
・前CEOの報酬20億円

これらの多くは具体的に想像するのが難しいようなものばかりで、つい「ふーん」くらいに聞き流してしまうのではないでしょうか。では、

・年金支給額が1万円減額へ
・消費税が8%から10%へ
・経理部の社員が500万円を着服

というニュースなら、どうでしょう。「それは困る」「ひどい話だ」となると思います。

これが「自分事にする」ということです。数字はそのまま伝えても伝わるとは限らず、相手にとっての「自分事」にして初めて、伝わったことになるのです。

「1人当たり」「1個当たり」で見えてくるもの

数字で語る経営者やコンサルタントは、「@変換」という手法をよく使います。つまり、大きな数字を「1人当たり」「1個当たり」の数字や単価に変換する作業です。「数字に意味を持たせる作業」と言うこともできます。

たとえば会社の売上を社員数で割ってみる。100億円の売上で社員が200名なら、1人当たり5000万円の売上。仮にライバル社が90億円の売上で社員が150名なら、1人当たり6000万円。自社はまだまだ効率化の余地があるのではないか、と主張することも可能になります。

あるいは、売上目標に対する未達金額である500万円を、営業マンの数で「@変換」してみる。営業マンが10人なら、1人50万円。商品単価が10万円の商品を売っているとしたら、1人の営業マンがあと月にプラス5つ、商品を売り伸ばせばいいという具体的な指示をすることができます。

これがまさに「数字を自分事として伝える」ということです。単純に平均を計算するのではなく、意味のある数字に変換することが重要です。