浪費が激しい配偶者と離婚することはできるか。離婚や男女問題に詳しい弁護士の堀井亜生さんは「使わない日用品を際限なく購入するような買い物依存症の場合、離婚を切り出しても止まらないことも少なくない。しかし地道な対策を取っていけば、浪費する配偶者と離れることは可能だ」という――。
※本原稿で挙げる事例は、実際にあった事例を守秘義務とプライバシーに配慮して修正したものです。
開封されずに山積みにされた段ボール
写真=iStock.com/Rost-9D
※写真はイメージです

「買い物依存症」は地味で深刻

買い物依存症の妻と聞くと、どんなイメージを抱くでしょうか。

ブランド品や高級品を買いあさり、着飾って出歩く……。そんな姿を想像するかもしれません。しかしリアルな買い物依存症はもっと地味で、深刻なものです。

有名企業に勤めるAさん(42歳)は、専業主婦の妻(37歳)と結婚して8年になります。

知人の紹介で知り合った妻は若くて見栄っ張りなところがあるものの、気が合いそうなので結婚しました。二人の間には7歳になる長女がいます。

Aさんは年収800万円と、十分な収入を得ています。しかし生活は火の車で、Aさんは毎月2万円ほどの小遣いで切り詰めた毎日を送っていました。

洗剤、フライパン、足つぼマット…買っても使わず放置

家計を圧迫しているのは、妻の買い物でした。

といっても、妻の身なりは地味で、ブランド品や高級品を買っているわけではありません。

通販で見つけた、はやりの商品を次々と購入して、使わないまま放置するのです。

たとえば、「なんでも落とせる洗剤3本セット」を購入して、箱のまま放置。フライパンセット、サーキュレーターなど、一つひとつは1万円もしないものですが、際限なく購入して、開封することなく積み上げます。

同じ足つぼマットを5つ買っていたことや、年齢的にまだ使わない老眼鏡を買っていたこともあります。

妻に聞くと「そのうち使うと思って」「人にあげようと思って」と言うのですが、何一つ開封することはなく、家のうち一部屋は未開封の段ボールで埋もれています。さらに居間や玄関にも段ボールが積まれていました。

日用品も、同じように際限なく購入しています。タオルや電池、使い捨てカイロは「安かったから」と箱で買ってそのまま放置。食器洗いの洗剤も、家に詰め替え用のストックがたくさんあるのに「安かったから」と容器ごとさらにまとめ買い……。

Aさんが「やめてほしい。必要なものは相談してから買うようにしたい」と言ってもやめません。

妻は、買ったものは置きっぱなしにして整理しませんし、そもそも掃除や洗濯などの家事をしません。小学生の長女の食事も用意しませんし、これほど買い物をしているのに、子どものものは買いません。そのため子どもの食事はAさんが用意して、学用品などもAさんが確認して購入していました。

妻が買ったものを、妻がいない間に開封したり、処分しようとしたりすると、妻は火が付いたように泣き叫んで怒ります。長女にも当たり散らすので、Aさんは山積みになった段ボールにも手を付けられなくなりました。