※本稿は長嶋茂雄『野球人は1年ごとに若返る』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
68歳で脳梗塞になり、健康の価値を再認識
仕事から引退することはあっても、人生からの引退はありません。
ですから毎日が前進です。
日々をいきいきと過ごしたいものです。
それには「気持ちはいつも前向きに」とつくづく思います。
こんなことを意識したのは、思いもかけない病にかかってからです。
若いころから健康には細心の注意を払っていた自負があります。タバコは風邪で喉を痛めた選手時代の1970年にやめてしまったし、酒もほとんど飲みません。食事も腹八分目を守ってきました。「ファンのためには休めない」という職業上の義務感もありましたが、身体も気持ちも健全に保つことが本能のようになっていた。選手時代の身長177センチ、体重77キロはいまも変わりません。それでも病気になるのですから、怖いものです。
オリンピック代表監督としてイタリアへ
さて、そこでわれらシニア世代の毎日の過ごし方です。仕事熱心だった人ほど、引退後は日々の張り合いを失って老け込んでしまうと言われます。けれども私はそうならなかった。好きな野球が仕事だった、天職だったという幸運がまずあります。
野球は1年を通して刺激を与え続けてくれる。レギュラーシーズンからポストシーズンの試合、オフのストーブリーグ、そしてキャンプ、オープン戦とカレンダーは一年じゅう野球で詰まっています。プレーや指揮から離れても、気持ちの上でいつも野球と一緒になっていられる。これがラッキーでした。
もっとも私は好奇心が人一倍です。アンテナがいつもクルクル回っている。野次馬精神旺盛、自分でも年齢のわりに気持ちは若いと思います。野次馬が走った例を挙げてみましょうか。
アテネオリンピックの代表監督をしていた2003年のことです。翌年のオリンピック本番では、チームの時差調整をイタリアでやってアテネに乗り込むことにしていたので、その下調べで9月に、背広組スタッフ数人と現地に飛びました。


