まず部長が不文律がどんなルールや条件、基準の上に成り立っているのかを把握しなければいけない。結局、不文律は人が生み出しているので、部の中にどんな人がいて、何を考え、何をしているのかを捉える必要がある。これをすっ飛ばしてアジェンダを設定し合宿などを始めてしまうと挫折する。
もちろん部長1人の力では難しい。1人の部長が自分の下にキーマンを20人集めたとして、組織内に20人の部長がいればすぐに400人の変革集団ができあがる。20人は半分が課長クラスで、残りの半分は課長のすぐ下くらいのクラスで意欲のある社員がいい。課長ばかりを選ぶとイエスマンの集まりになる可能性があるし、平社員だけでは課長外しと取られて変革への抵抗勢力を生み出してしまう。
そうでなくても不文律を変えようとすれば抵抗勢力は生じるもの。一番やっかいなのは抵抗勢力が自分は正しいと思い込んでいるときだ。こういった社員は長年、不文律と表裏一体で過ごしてきたため、不文律を客観視することもないし、悪いと思いもしない。この手の人に対しては目線をぐっと上げて環境分析の議論をやらなければいけない。部署が置かれた環境や戦略、どこで勝とうとしているのかを議論し、不文律という色眼鏡を外させるのだ。
それでうまくいかなければショック療法で対処する。360度評価で自分がいいと思っている行動と、周りの評価とのギャップを突き付けるのだ。こういう人に限って「自分はちゃんとできている」と思いがちで、場合によっては「誰がこんな評価をした」と犯人探しを始める。トップや旗振り役の部長は、現況を変えようと頑張る部下を徹底的に援護することが肝心だ。
(構成=大下明文)