2011年のオリンパスによる巨額な損失隠しの発覚はまだ記憶に新しいところだろう。そこで『最近の粉飾』で、その実態を知り“他山の石”としてほしい。カネボウやライブドアなどの不正手口をケーススタディーとして取り上げ、具体的な粉飾の調査手法を明かしている。数多くの取引先を抱えているビジネスマンなら、興味深く読めるはずだ。
『最近の粉飾』井端和男/税務経理協会
大規模な粉飾から小規模な粉飾まで、具体的なケースを「資産水増し型」や「売り上げ先行計上型」などに分類。赤裸々な粉飾の実態分析とともに、その発見法を教える。
時代の流れに応じて会計のニーズも変化する。その意味では、早ければ15年以降の日本での強制適用で揺れるIFRS(国際会計基準)についても知っておきたい。『IFRS決算書読解術』は、この2月に発行されたばかりの解説書で、中級レベルだがぜひトライしてほしい。
『IFRS決算書読解術』望月 実ほか/阪急コミュニケーションズ
国際会計基準の導入によって、財務3表はどう変わるのか……。著名企業の決算書を使い、その全体像から読解術まで、最小の努力で概略をつかむ方法を伝授する。
上場企業の経理部門の人など、さらに専門性を高めたい人には『財務会計講義』を紹介しておく。1994年に第1版が出され、現在は第12版。財務や会計の最新の理論を学術的な立場から詳しく解説している。硬派な論文だが、体系的に学ぶためには必読の書である。
『財務会計講義(第12版)』桜井久勝/中央経済社
財務会計理論から会計処理や決算書作成までを明瞭に解説した最新版。外貨建て取引など激動する会計の新しい情報もフォローする、実務担当者のためのテキスト。