【田原】それで営業部女子課のようなつながりが大事になるわけですね。始めたのはいつごろですか。
【太田】2009年に勉強会の形でスタートさせました。最初は5人で始めたのですが、「こういう会を待っていました」と共感してくれる女性が多く、食品や住宅、製薬、損保やヘルスケアなど、会社の壁を越えてたくさんの方が参加してくれるようになったのです。いまでは全国に共感の輪が広がり、メンバーも1500人に達しました。
【田原】太田さんご自身の話も聞かせてください。太田さんは学生のときに結婚し、お子さんを出産したそうですね。
【太田】はい、予期せぬ妊娠をしてしまいまして。本来であれば大学を卒業して、就職して、結婚してから出産、が“普通の”人生でしょうが、私は別の道を歩んでしまった。当然就職活動もできずに「恥だから」と周囲から言われてしまいました。実際、私も親戚に打ち明けることもできず、世間から隔離された状態で暮らしていました。
【田原】本当は働きたかった?
【太田】そうですね。心のどこかでは、自立して働きたいという気持ちがありました。でも、現実がそれを許さない。それで鬱状態に陥り、他人と比較して引きこもり主婦になってしまいました。
【田原】そのままズルズルいく人も多いと思いますが、太田さんは何をきっかけに働くようになったのですか。
【太田】子どもをあやしながら、たまたまつけたテレビのワイドショーで、営業職の女性だった方がいろいろな苦難を乗り越えて女性社長になった話をやっていたんです。それを見たときに何かスイッチが入って、翌日にはおんぶひもで抱っこした子どもとボストンバッグ1つで、家出しちゃいました。