高級車から軽トラまで大量に盗まれている理由
今年3月、警察庁が2024年の車名別盗難台数を公開しました。1位になったのはトヨタ「ランドクルーザー」で、1064台。前年は2位で643台でしたので、そこから大幅に数字を伸ばした形です。
さらにトヨタ「プリウス」(539台)、トヨタ「アルファード」(488台)と続きますが、注目したいのはトヨタ「レクサスLX」(230台)です。盗難台数の順位こそ4位ですが、「自動車保有車両数1000台当たりの盗難台数」でいうと、「ランドクルーザー」の3.4台を大きく引き離して、「レクサスLX」は23.3台。つまり、50人に1人のオーナーが盗難に遭っている計算です。現在の日本でもっとも狙われやすいクルマといえるでしょう。
高級車が狙われやすいことは理屈としてよくわかります。その点で意外な印象を与えるのは、7位のダイハツ「ハイゼット」(103台)と、9位のスズキ「キャリイ」(96台)でしょう。この2つは軽トラックで、ほかにランクインしている高級車と比べればリーズナブルです。
あとで詳しく解説しますが、盗難車の大半は海外で売られます。警察に被害届を出されるため、国内で盗難車に乗るのはリスクが高く、需要がほとんどありません。盗難台数ランキングの上位に入っているのは軒並み海外で人気の高いクルマであり、とくにアメリカでは日本の軽トラックの人気が高いといわれています。
「ハイゼット」も「キャリイ」も歴史のあるクルマです。自分は何年も前に買った古い型式だから狙われないと、高を括ってはいけません。アメリカには、製造から25年が経過していない右ハンドル車は輸入できない「25年ルール」があります。輸入できないということは、25年未満の右ハンドル車は車検も通りません。したがって、アメリカの盗難車マーケットでは、むしろ25年以上前に製造された古い日本車の人気が高いのです。
その点で要注意なのは、1990年代のスポーツカーです。もともと出回っている台数が多くないためランキングには入ってきませんが、日産「スカイライン GT-R」、マツダ「RX-7」、トヨタ「スープラ」のように、多くのファンがいて高値で取引されるクルマ、それも2000年より前に製造された個体は、これまで以上に警戒が必要でしょう。
「防犯対策」と「盗難手口」はイタチごっこになっている
さて、現在狙われやすい高級車に話を戻しましょう。
かつて車両盗難といえば、扉をこじ開けて手動でイグニッションしたり、レッカーしたりするなど荒っぽい手口が主流でした。また、鍵そのものを盗んで鍵屋さんで合鍵をつくれば、車両を傷つけることなく盗むこともできました。
それではさすがに無防備だということで、90年代に登場したのが「イモビライザー」です。イモビライザーは鍵の柄にチップを埋め込み、車両と鍵のチップのIDが一致しない限りエンジンがかからない防犯装置です。金属の物理的な鍵山がなく、クルマに近づいてボタンを押すだけで解錠できるスマートキーにも、イモビライザーが搭載されているのが一般的です。
イモビライザーはいまやほとんどのクルマに標準装備されています。また、高級車の中でも「ランドクルーザー300」や「レクサスLX600」には最新セキュリティの指紋認証システムが導入されていて、登録している指でボタンを押さないとエンジンがかからない仕組みになっています。
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