旅行や出張で初めて訪れる土地。慣れない道での運転は、誰でも不安を感じるもの。地域によっては、独自の「運転文化」ともいえるご当地ルールが存在する。ご当地ルールが誕生した背景と、運転時に注意すべきポイントを解説する。

強引な割り込みに注意悪名高き「名古屋走り」

日本には地域特有の運転ルール「ご当地走り」があるのをご存じでしょうか。各地域でドライバーの皆さんが長年にわたって独自に根付かせてきたルールのことで、もっとも有名なのが愛知県の「名古屋走り」です。ご当地走りは、時に交通ルールを無視した危険な運転であり、警察もルール遵守を呼びかけています。他県の人が知らずに運転をすると、思わぬルールに驚くこともあるので注意が必要です。さっそく解説していきましょう。

ご当地走りの元祖「名古屋走り」は、黄信号で無理に交差点へ進入する、進路変更時にウインカーを出さない、強引な割り込み、という特徴が知られています。

日本には道幅100メートルを超える「100メートル道路」が3本ありますが、そのうち2本は名古屋市内にあります。ここでは片側4車線の端から端まで一気に3つの車線変更をする名古屋ナンバーの車をよく見かけます。本来、車線変更する際は3秒前にウインカーでの合図が必要です。3車線分を一気に変更することは合図不履行の違反になります。

手に汗握るスリリングな走りを繰り広げる「名古屋走り」の知名度はいまだ全国ナンバーワンで、相撲の番付だと横綱といったところでしょう。私が名古屋走りを初めて聞いたのは20年ほど前。その後、全国各地のさまざまなご当地走りが知られるようになりました。「札幌ラーメン」からご当地ラーメンが始まったように、全国に広がっていったのです。

さらに知名度にもとづいて各地のご当地走りを番付していくと、大関が愛媛県の「伊予の早曲がり」、関脇が茨城県の「茨城ダッシュ」、小結が長野県の「松本走り」、そして前頭筆頭に岡山県の「岡山ルール」が挙げられます。

運転文化の独特な「ご当地ルール」5大番付

城下町の運転ルールが独自に進化したワケ

こうしてみると「ご当地走りはいろいろな種類があるのだな」とも思えますが、実はその特徴を分類すると次の3つに集約されます。

①交差点での早曲がり
②ウインカーによる合図の不履行
③黄信号での突破

です。

「①交差点での早曲がり」は、大関に番付した愛媛県の「伊予の早曲がり」にも使われていますね。交差点で右折するとき、直進してくる対向車がいるのにもかかわらず、青信号に変わったとたん、対向車をさえぎるように右折してしまう運転が、この早曲がりです。

道路交通法第37条で「車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない」と定められています。対向車の進行を無理に妨害して右折するのは危険な行為です。