組織の最上層にいる人々が建設的批判を受け入れることを苦手とする理由は、彼らがキャリアの中で批判を受けた経験がほとんどないからだ。モニター・グループ名誉取締役でハーバード経営大学院ジェームズ・ブライアン・コナント記念講座の名誉教授、クリス・アージリスが、1991年の「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌の記事「Teaching Smart People How to Learn(頭のいい人に学び方を教える)」で述べているように、「彼らはほとんど失敗したことがないため、失敗から学ぶ方法を学んでいないのだ」。

トップ・パフォーマーを突き動かしている大きな野心と自己に課した高い目標は、失敗することへの大きな不安や、その高い目標を満たせないことを恥と感じる傾向とセットになっていると、アージリスは説明する。彼らは失敗の経験があまりないため、失敗から生まれる恐怖や恥の感情に対する耐性も、そうした感情に対処するスキルもない。

そのため、批判を受けたときは、組織で最もパフォーマンスの高い社員が最も自己防衛的になる可能性が高い。「彼らは批判をシャットアウトして、自分自身以外のあらゆる人に責任を転嫁する。要するに、彼らの学習能力は、それが最も必要なときに停止してしまうのだ」と、アージリスは述べている。

優秀なマネジャーが建設的批判に抵抗するもう1つの理由は、彼らが「ベテランである」ことにある。

「その仕事を長くやっていればいるほど、また年齢が高ければ高いほど、行動パターンが確立されていて、変化を受け入れたり、自身が変化したりすることが難しくなる」と、ハーバード経営大学院カーナーズ・ラブ記念講座の名誉教授、マイケル・ビアは言う。後輩や若い人間に批判される場合は抵抗はさらに激しくなることがある。

成功者に率直なフィードバックを受け入れさせ、対応させることは、難しいが、不可能ではない。優秀なマネジャーの自己防衛を突き崩して耳を傾けさせる秘訣を紹介しよう。