ビットコインが世界の投資家から注目されている。金にかわる「デジタルゴールド」と呼ばれることもあるが、安心できる投資先なのか。SBIホールディングス常務執行役員・小田玄紀さんの著書『デジタル資産とWeb3』(アスコム)から、暗号資産を支える最新技術を紹介する――。
ビットコイン
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ビットコインが“怪しい”と思われる理由

ビットコインをはじめとした暗号資産とは、いったい何なのか? 電子マネーやポイントサービスとは、何が違うのか? こう聞かれたら、あなたならどう答えるでしょうか。

いまひとつ暗号資産を信用できない大きな理由のひとつは、テクノロジーがそもそも分かりにくいことです。仕組みがわからないのにいくら「安全だ」と言われても、全く腑に落ちません。

ブロックチェーン、ハッシュ関数、公開鍵暗号、コンセンサスアルゴリズム、スマートコントラクトなど、聞いただけでは何のことか分からない人がほとんどでしょう。

ただ、これらを専門的、技術的に理解する必要はありません。大事なのはこうしたテクノロジーが何のために使われているのかであり、まずは入り口として次のことが感覚的に納得できれば十分です。

そもそも、ビットコインなど暗号資産は0と1が並んだデジタルデータです。デジタルデータは数値なのでコンピュータで自由に編集したり加工したり、改ざんもできます。また、複製(コピペ)が容易で、しかも何万回繰り返しても内容が劣化するということがありません。

ところがビットコインなど暗号資産を裏付けているテクノロジーは、こうしたデジタルデータの特性を大きく変えることに成功しました。

「ブロックチェーン」は唯一性を証明する技術

特定の要件を満たしたデジタルデータについて、そのやりとりは誰でも見られるのに、やりとりの記録を後から書き換えることがほぼ不可能で、さらに特定のデジタルデータを他から区別して唯一無二のものであることが証明できるようにしたのです。

では、どうしてそんなことができるのか。ここでは必要な範囲にトピックを絞り込み、ザックリとしたイメージをつかんでいただければ十分です。

大事なのは、デジタルデータの改ざんが難しかったり、特定のデジタルデータを他から区別できたりすることで、何ができるようになったのか、これからさらにどんな可能性があるのか、ということです。

ブロックチェーンがビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)を生み出し、さらにWeb3の様々な試みへと発展してきました。デジタル資産とWeb3の可能性を考える上で、ブロックチェーンの基本的な仕組みと特徴を理解しておくことは非常に重要です。

ブロックチェーンの基本的な仕組みと特徴、さらに弱点と対策についてできる限り分かりやすく説明します。