5月は予想通りの現状維持
日銀は4月30日~5月1日に開催した金融政策決定会合で政策金利の据え置きを決めた。
金融政策決定会合とは、その名の通り、金融政策を決める会合で、年に8回、概ね1カ月半毎に開催され、今年は1月下旬、3月中旬、今回、6月中旬、7月下旬、9月中旬、10月下旬、12月中旬に予定されている。前回(3月18~19日)も据え置きだったが、前々回(1月23~24日)は昨年7月下旬以来となる利上げを実施、政策金利とする無担保コール翌日物金利の目標水準を0.25%から0.5%へ引き上げた。
今回は政策金利を0.5%で据え置いたわけだが、これは大方の予想通りであった。その理由は、「トランプ関税の影響で市場が混乱しているため」というわけではなく、ただ利上げを急ぐ理由がないからである。
第一に、インフレが加速する恐れがあまりない。そう言うと、コメを含めた食料品価格もガソリン代も上がっているのに、という疑問を持たれる向きもあろうが、日銀は金融政策を決める上でこれらの価格を対象としていない。
なぜなら、食料品の多く、そしてガソリンの原料である原油はほぼ全てが輸入であり、海外の相場は国内の金融政策では如何ともし難いためである。さらに言えば、コメを含めた食料品は天候に左右されるが、これも日銀の手の及ばないところである。
消費者物価は依然として2%を上回る
では、金融政策の判断材料となる物価とは何なのか。まずは、代表的なインフレ指標である「消費者物価指数(CPI)」が挙げられるが、その中だけでも3つの重要指標がある。1つは食料品やガソリンなどのエネルギーも含めた全体を示す「総合」、もう1つは天候に左右されやすい生鮮食品を除いた「コア(生鮮食品を除く総合)」、最後の1つは、コアからエネルギーも除いた「コアコア(生鮮食品・エネルギーを除く総合)」である。