健康寿命を延ばすにはどうすればいいか。管理栄養士の大柳珠美さんは「60歳からは男女ともに『内臓脂肪をつけない・落とす食生活=糖質制限』にシフトするタイミングだ。体重だけを見て『自分は太っていない』『若い頃よりやせた』と安心していると、体脂肪が増えていることに気づかず『肥満』を見逃してしまいかねない」という――。

※本稿は、大柳珠美『糖質を“毒”にしない食べ方』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

健康的な減量ダイエットのイメージ
写真=iStock.com/Mikhail Sedov
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ピンピンコロリを実現したいなら「糖質制限」を

日本の平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳(2023年)。健康寿命(自立した生活を送れる期間)との差が男性は約9年、女性は約12年もあることから、元気な晩年を過ごした方ばかりとは言い難いでしょう。

ピンピンと元気に暮らし、長患いすることなくコロリとく。「ピンピンコロリが理想の旅立ち」と口にする人が多いのは、その裏に「果たして実現できるだろうか」との不安が隠れているからではないでしょうか。

ピンピンコロリを実現したいなら、ぜひ糖質制限を。生活習慣病、寝たきり、認知症など、いずれも糖質制限で予防・改善ができます。

メリット①内臓脂肪を減らして生活習慣病を防ぐ

食事などから摂取した糖はエネルギーとして消費され、余った分は「中性脂肪」として体のなかに蓄えられます。皮膚の下で蓄えたら「皮下脂肪」、内臓のまわりであれば「内臓脂肪」と呼ばれ、皮下脂肪と内臓脂肪を合わせて「体脂肪」といいます。

「脂ものを食べると脂肪になる」と誤解されがちなところですが、余った糖質が中性脂肪になるのです。中性脂肪を増やす大きな原因は脂質ではなく、糖質の摂りすぎということになります。

ちなみに皮下脂肪は二の腕、腰回り、ももの裏などにつきやすい「手でつまめる脂肪」。とくに悪さはしません(見た目はさておき)。健康面に影響を与えるのは内臓脂肪。内臓脂肪が増えすぎた「内臓脂肪型肥満」が厄介なのです。

内臓脂肪が増加すると血液中で中性脂肪が増え、超悪玉コレステロールも増加、反対にHDL(善玉)コレステロールは減少してしまいます。

これらのバランスが崩れた状態を「脂質異常症」といい、動脈硬化や高血圧を引き起こし、心臓病、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)につながる危険があります。