60歳から知っておくべき健康知識は何か。管理栄養士の大柳珠美さんは「古い栄養学では油はひとくくりに悪いとしてきたが、全てが悪いわけではない。例えば、現代日本の食生活においても昔ながらのラードで揚げるトンカツは問題がない」という――。

※本稿は、大柳珠美『糖質を“毒”にしない食べ方』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

トンカツ
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「油は体に悪い」は古い健康常識

先述の「牛乳は骨粗鬆症予防につながらない」という内容に驚いた方も多いかもしれません。何といっても現代の60歳前後の方々は最新の栄養学に触れる機会がなかった方も少なくないはず。そんな古い栄養学の知識で牛乳と並んで誤解されているのが「油」です。

「脂質はカロリーが高いから太る」というイメージがあるようですが、人間を太らせるのは糖質です。脂質は体重増加には大きく関係しません。

まず意識を変えていただきたいのが「脂質では太らない」ということ。脂質はタンパク質と並んで生命維持に不可欠な必須栄養素です。

読者の皆さんにはふたつの点から脂質を積極点に摂っていただきたいと思います。

まずひとつ。糖質制限をすると糖質からエネルギーを得ることができません。糖質の代わりのエネルギー源として脂質を摂ってください。ふたつめは心身の健康のため。脂質は細胞膜の材料となり血液やホルモンの合成にも関わっているのです。

ただし、油なら何でもいいのではありません。60歳からはどんな種類の油を避け、どんな種類の油を選ぶべきか、本稿で考えていきましょう。