私の事務所に相談に来るお客さんはたいてい、貯蓄ができずに悩んでいる人たちだ。彼らに「子どもの頃はどうでしたか?」と尋ねると、「わが家はわりと裕福でした」と答える人が多い。何でも買ってもらえたし、大学時代は口座に一定額が入っているよう親がお金を足してくれていた、という人までいた。
そういう子どもが大人になり、困って相談に来るのだ。正しい金銭感覚を持ち、自立した大人になるよう教育するのも親の役割ではないか。子どもにかけるお金は最低限にし、「稼いだお金は老後のために蓄える」と意識を変えてほしい。
世代別「老後破滅」ウイルス&処方箋
●「溺愛投資」ウイルス
【症状】子どもにかけるお金はすべて投資だから、子どもがやりたいと言ったことはとにかく何でもやらせてあげたい。周囲に類似タイプの親がいれば触媒となってこのウイルスは増殖。年収も少なくないので、塾、家庭教師やスポーツ、ピアノなど子どもの才能を伸ばすためならお金は惜しみなく使う。
【処方箋】教育費ならすべて投資とはいえない。勉強も趣味もと考えず、子どもが本当にやりたいことだけに絞る。特効薬は、かけられる教育費を子にも隠さず伝え、やりたいことを自分で考えさせること。
●「保険加入」過剰症
【症状】何かあったら不安だからと、営業担当から勧められるがまま保険に加入。適額がわからず過剰になっている。死亡保険、がん保険、医療保険など、入っただけで安心するという兆候が見られる。保険商品の構成が複雑すぎて、じつは保障内容が理解できていない。
【処方箋】治療の第一歩は入っている保険の内容を把握することから。子どもももう小さくないので、高額な死亡保障がついた保険に入ったままなら、見直す。ネット生保なども活用しつつ、必要最低限の保険プランに見直しを。
家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー
横山光昭
1971年生まれ。FPとして司法書士事務所に勤務した後、2001年に独立。5300人以上の家計を再生した実績を持つ。
横山光昭
1971年生まれ。FPとして司法書士事務所に勤務した後、2001年に独立。5300人以上の家計を再生した実績を持つ。
(構成=八村晃代 撮影=アーウィン 写真=PIXTA)