自分を知り敵を知れば戦略が見えてくる

互いを知るため、眞鍋監督やスタッフは合宿中、朝昼晩と食事を選手と共にする。チームにこだわる。

「世界を知る」をことしのテーマに掲げる。国際経験の乏しい選手たちは世界の強豪と対戦し、自分たちの課題を肌で知る。

眞鍋監督は言う。

「ことしはチームのベースをつくる。だれが世界に通用するのかを見極めたい。選手は自分たちを知って、敵の力も知る。世界を知ることで、何をしないといけないか、どんなバレーをしないといけないかがわかるんです」

欧州遠征の20試合ほどの戦いの中で「勝利の方程式」は見えてきた。中国やキューバにはなぜ、勝てたのか。イタリアになぜ、何度も負けたのか。「スピード」と「精密さ」が鍵をにぎる。

「日本は高さとパワーがないから、総括として、スピードを追求しないと勝てないんです。そして精密さ。緻密なバレーというか、精密なバレーまでいきたいんですよ」

日本のオリジナリティとして「スピード」と「精密さ」を築きたい。例えば、攻撃のスパイク。相手のサイドのブロック完成がセッターにボールが届いてから最速1.1秒を要するのなら、日本はその1.1秒以内のスピードで打ち込めばいいのだ。

眞鍋監督は練習中、スパイク練習でストップウオッチを押す。栗原が「1.0秒」、木村沙織は「0.8秒」。

一事が万事、何事も理詰めで進めていく。「世界一のレシーブ力」の構築も順序立てて指導している。まずはディフェンスコーチが基本となる個人のレシーブ能力を高める。腕の位置や姿勢など基本を徹底させ、上達するまで反復練習に取り組んでもらう。