個人が無理なく資産運用を続けるにはどうしたらいいのか。シデナム慶子さんは「資産運用で大事なのは、大きく儲かる可能性の高い投資対象を探すことではない。まずは、個人投資家が一番やってはいけないことを紹介しよう」という――。

※本稿は、シデナム慶子『投資に必要なことはすべて海外投資家に学んだ』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

ローソク足チャートと世界の金融市場のデータ
写真=iStock.com/tadamichi
※写真はイメージです

個人投資家が一番やってはいけないこと

投資をするうえで、個人投資家が一番やってはいけないことは、落ちたときに焦って売ること、いわば「狼狽売り」をしてはいけない、ということです。

なぜ狼狽売りをしてはいけないのでしょうか。その理由の1つとしては、それは大概のケースにおいて、狼狽売りしたところが底値だったりするからです。「あーあ、売らなければよかった」というのがこれに当たります。

ここで大事なのは、メンタルの問題です。

自分の買値を下回ったところで売却した時点で損失が確定されるわけですが、損失確定の大きな問題点は、その後、マーケットが上昇に転じたとしても、なかなか買いに入れなくなることにあります。

最初の買値が1000円だとしましょう。それが600円まで値下がりしたところで売却し、損失を確定したとします。その後、さらに値下がりして550円になったところが大底で、そのまま上昇に転じました。

本来、ここで買えれば400円の損失を回復できるかもしれません。でも、株価がさらに上昇するか、再び下落に転じるかの見極めは、非常に困難です。結果、買うことができないまま、さらに価格が上昇してしまい、悔しい思いをすることになります。

冷静な投資判断を下せる指針が必須

もちろん、株価がさらに下がるような状況であれば、「買わなくてラッキー」ということになりますが、それでもどこかで底を打つ局面が来ます。そうなればなったで、また買うべきか、それとも見送るべきかで悩むことになります。

いずれの場合においても、「買う」「売る」の投資判断をするのは極めて難しいですし、心理的ストレスも大きいです。とりわけ、市場が大きく下落する局面では、パニック売りが多く起こります。

マーケットには様々な投資家がいます。本書を読んでくださっている個人もいれば、物凄い額の資金を瞬時に動かすプロの投資家もいます。ますます値動きの大きい市場になる昨今のマーケットを相手に資産運用を行なうには、冷静に投資判断を下せる指針が必要となってくるのです。