前例のない「二足のわらじ」

大賀はドイツの留学中にカラヤンと知己を得た。ドイツ在住で先輩歌手の田中路子から「これから面白い人に会わせてあげる。ついてらっしゃい」と言われ、お供して、出会ったのがベルリン・フィルハーモニーの指揮者だったカラヤンだった。

田中は戦時中に自分の家で多くの人をナチスから匿った。カラヤンもその中のひとりだった。田中の紹介で出会った大賀とカラヤンは生涯の友となり、大賀はCDの規格化などビジネス面でもカラヤンの協力を得ることになる。

留学から帰国した大賀に、盛田は「週に一日くらい、社に来ないか」と声をかけた。「何もしなくていい、給料は出す」という誰もがうらやむ特別待遇だった。