英語の履歴書を求められようが、年齢制限をオーバーしていようが、「とにかく面接までいければ何とかできる」とひるむことなく行動した。紆余曲折を経た佐々木の仕事人生だが、その間に離婚して、女手ひとつで男子3人を育てた。子どもたちの手が離れてきたことも、カフェの開店を後押しした。
Private Cafe Cozzyでは、月に2、3回、週末にワークショップを開催している。マインドマップをつくるといったビジネス関連のものからワイヤーワークなどの手づくり関係まで、多岐にわたる。こうしたワークショップの企画も含めて、カフェの運営には会社員時代に培ったビジネススキルが生かされていると佐々木は言う。
「ワークショップでも、ゴールは何なのか、差別化はどこなのか、講師の方と話し合いながらきちんと企画をつくっていきます。お店の運営でも、お客様の反応を見てメニューを替えるなど、仮説、実行、検証、仕組み化という楽天の考え方を意識してきました。会社で学ばせてもらったことを、今は当事者になって実践している。私は会社員生活をやってきてよかったと思います」
「次にやりたいことのために今を頑張る」が佐々木のスタンス。イヤな現実から逃げるために次を目指すのではない。だからこそ、これまでのあらゆる経験が今に生かされている。
Private Cafe Cozzyは4月で1周年を迎える。だが佐々木にとって、カフェの運営が最終目標ではない。ワークショップやセミナーなどはもちろん、ウェブサービスのアイデアなどもあるという。
「2足や3足といわず、たくさんわらじを履きたいですね」と笑う。佐々木の「次にやりたいこと」は絶えることがない。
(向井 渉=撮影)