社会保険労務士(社労士)として独立し、8年目を迎える大島祐美子。ふわっとした柔らかな物腰と、日本ヒューレット・パッカード、参議院議員事務所の秘書を経て社労士という異色のキャリアを併せ持つ。
大島は、最初から独立を目指していたわけではないという。秘書として議員事務所に勤めながら、「何か勉強を始めよう」と思ったときに、中学からの友人が社労士の試験を受けると聞き、自分も勉強を始めた。
「友人が勉強を頑張ると聞いたのに、自分は何もしないのは、あまりよくないんじゃないかと思って。それから当時、国会議員やタレントの年金未納が問題になっていたのですが、自分が年金についてよく理解していないことに気づき、勉強してみようと思いました」
軽い気持ちで始めた受験勉強に、当初は身が入らなかった。しかし、社労士の試験科目の中にある「労働に関する一般常識(労働一般)」という科目が、大島の興味を惹いた。労働一般の内容には、人材の評価や労働者のモチベーションについてなどが含まれる。そこに、自分の会社員時代の経験を重ね合わせた。
「ITの部署にいたときに、私しか担当する人がいないと言われた仕事があって、一生懸命に取り組んだのに、1カ月で担当替えになったことがありました。そのことにがっかりして、会社を退職してしまったのです。仕事がどんなに大変でも、周りの人がどう声をかけるか、どう評価をするかで、続けていけることもあるかもしれない。労働一般の勉強をする中でそうしたことを思い出して、これはとてもいい仕事だと思い、勉強に対するやる気が出てきました」
試験勉強を楽しいと感じ始めた大島は、社労士になりたいと思うようになった。そして試験をパスして、いきなり開業する。5年やってみてうまくいかなくても、35歳までなら再就職できるんじゃないかと考え、開業を決めた。当初から、3人の知人がクライアントになってくれた。