トヨタ日産ホンダに割り込んだ意外な会社

業界内ランキングに目を戻すと、3位はシマノがランクインした。1921年に島野鐵工所として創業し、自転車部品のうち「フリーホイール」と呼ばれる部品の製造をルーツに持つ。現在は自転車部品の他に釣り具なども手掛け、売り上げの大半を海外が占める。2023年度の平均年収は846.8万円で、トップ10入りした企業のうち唯一前年比で減少している(25.5万円減)。同年度は減収減益となったことも影響していそうだ。

4位はデンソーで、平均年収は839.0万円。前年からの増加幅は27.7万円だった。デンソーのルーツはトヨタ自動車工業(当時)の電装部で、1949年に日本電装として分離独立し、現在も同グループに属している。豊田自動織機、アイシンと合わせて「グループ御三家」と呼ばれ、そのうち平均年収が最も高かった。

トヨタグループ御三家で次に平均年収が高かったのは、豊田自動織機だ。業界内では6位に位置し、前年から21.8万円増加した結果、814.6万円だった。

アイシンは御三家の中でも後塵を拝し、トップ10からも外れた。業界内では20位で、平均年収は698.8万円だった(前年比11.2万円増)。

ヤマハとカワサキの二輪対決

全体の7位はヤマハ発動機。前年比16.8万円増の812.2万円だった。2023年度は連結売上が2兆4148億円、営業利益は2507億円でともに過去最高を叩き出したことが影響しているのだろう。ちなみに2024年度の連結売上が2兆5762億円(前年比6.7%増)、営業利益は1815億円(25.6%減)となっている。

8位も二輪に強みを持つ企業が続き、川崎重工業(809.6万円、前年比73.1万円)がランクイン。2023年度は売上収益が伸びたものの航空機エンジン「PW1100G-JM」のトラブル対応で大規模な損失を計上するとともに、円安進行で海外子会社の固定費が増加した。

これが影響して、売上総利益・事業利益ともにマイナス成長となった。一方、平均年収の増加幅はトップ10企業の中で最も大きい。広報によれば「従来算定対象ではなかった60歳以上の従業員を加えたため」と話す。同社は、2023年度から定年を65歳に引き上げるとともに、年齢要素を廃止し、役割や成果に応じた処遇を一層強める処遇体系へと移行している。この変更が影響したという。

9位はいすゞ自動車。前年から11.6万円増加し、平均年収は788.6万円だ。商用車とディーゼルエンジンの開発・生産・販売を事業としている。2023年度はグローバル販売台数が前年比14%減となったものの、円安進行を追い風にするとともに原価低減などの工夫で増収増益を果たしている。

10位は三菱自動車工業だった(786.3万円、前年比42.6万円増)。筆頭株主が日産であり、日産・ホンダ間の経営統合騒動では、三菱自動車の動向にも注目が集まった。直近では台湾の鴻海精密工業と協業を検討していると報じられている。