2011年、当社の創業80周年を機に企業理念を見直す仕事を担当しました。その際に作成した4つの心構えの1つに「熟慮断行」がありますが、その大切さを再認識したのが『坂の上の雲』です。世界に追いつき、追い越そうとする当時の日本人の気概の素晴らしさ。そして後半の海軍と陸軍のやり方の違いを見るにつけ、考え抜いたベストの策をぶれなく実行することの大切さを感じました。今の日本に不安を覚えることがあっても、これを読めば「よし、できるぞ」と前向きになれます。男性に人気の高い作品ですが、組織やビジネスに男性も女性もありません。女性にとっても、未来への希望と元気をもらえる一冊です。
『坂の上の雲』司馬遼太郎/文春文庫
日本が世界に追いつこうとした時代、日本人はいかに生きたか。当時の人々の気概、海軍の組織としての戦略の立て方などマネジメント論としても興味深い。
『フラット化する世界』T・フリードマン/日本経済新聞社
インターネットの発達や中国・インドの成長により「フラット」化された世界で企業が競争に勝つ方法とは? 現代の世界経済の概要を把握するのに役立つ。
『戦略不全の因果』三品和広/東洋経済新報社
持続的な成長ができない企業は「戦略が不全」。機能していないのだ。他社と戦うのではなく自社の「事業立地」(誰に何を売るか)こそ最大の戦略であるとする。
『わが経営』ジャック・ウェルチほか/日本経済新聞社
GEを世界最強の企業に変えた男、ウェルチの自叙伝。「企業の理念に合わない人材は抜擢しないなど、企業風土をとても大切にする点に共感しました」。
『リーダーは自然体』増田弥生、金井壽宏/光文社新書
ナイキなどでグローバルリーダーを務めた著者は「おせっかいな普通のおばさん」として自然にリーダーシップを発揮。リーダーの多様さを教えてくれる。
『もしもウサギにコーチがいたら』伊藤守/だいわ文庫
カメに負けたウサギを導く体裁で、部下の創造性、自発性を引き出すコーチングの方法をアドバイス。「双方向」のやり取りの大切さに気づかせてくれる。
『その「記者会見」間違ってます!』中島茂/日本経済新聞出版社
不祥事への対応は企業の存亡に直結する。平時の備えから緊急時の情報発信、弁護士の活用法、記者会見の開き方まで、危機管理広報の心構えが身につく。
『ビジョナリーカンパニー』ジェームズ・C・コリンズほか/日経BP出版センター
ビジョナリーカンパニーとは時代を超え存続する一流企業。そこでは社員が優れた基本理念に沿って行動する。「企業理念の重みを再確認しました」。