嫌だった異動も、やがて「財産」になった

入社直後の配属は役員秘書。灰皿洗いやお茶汲みの毎日でした。雇用機会均等法施行後は総合職に転換しましたが、まだ組織内で女性の扱い方が定まらない時代。頻繁な異動で思うように実績も挙げられず、昇進もできない焦燥感から転職を考えたこともありました。

しかし、今振り返れば、会社生活に無駄はありません。嫌だった異動も、社内に相談相手が増えてプラスになりました。『人財革命』には「社長の気持ちになって考えてみると、いろいろ見えないものが見えてくるはず」など、若いうちから読んでおきたいことが詰まっていて、職場での心の持ちようや振る舞い方に役立ちます。

『人財革命』橘・フクシマ・咲江/祥伝社
会社の財(たから)となる人材とは──女性キャリアの先駆けである著者が、世界で活躍するビジネスパーソンになるために必要な意識改革の方法を説く。

昔、ある上司から「会社という組織の中で評価される働き方をしろ」と言われました。概して女性は、自分に能力があって、がんばりさえすれば道は開けると考えがちですが、自分1人の力で仕事が回るわけではありません。会社は、ビジョンを掲げてチームを引っ張り、チーム全体として成果を挙げる組織。その中で評価される働き方が大事なのです。これからの女性たちには「人間を動かす」力が求められます。泣いて上司に訴えてもダメ。組織人として評価され、組織を動かせる人、つまりリーダーシップを発揮してもらいたいと期待しています。『リーダーが身につけたい25のこと』は、リーダーとしての振る舞い方や自身のコントロール方法が具体的に書かれています。リーダーシップといっても大それた話ではありません。同書によれば、デートに誘うのも「今日は焼き肉だ」と家族に提案するのもすべてリーダーシップ。どんな場面にもリーダーはいるのであって、早いうちから意識しておきたい力です。

『リーダーが身につけたい25のこと』鈴木義幸/ディスカヴァー21
リーダーシップとは、1人では実現できない何かの実現を願い、他者に協力を仰ぎ、その実現を目指す力。誰にとっても役立つその能力の磨き方を学べる。