「ちいかわ」の受注生産は効果的

初めから転売目的で人気商品を購入する転売ヤーは、頻繁に問題となる。中には明らかに転売で生活している「プロ」がおり、組織だって行動するケースも目立つようになってきた。

東京ドーム開催のカブス対ドジャースの開幕戦シリーズと人気イラストレーター、ナガノ氏の「ちいかわ」のコラボグッズも即完売となり、転売の餌食となった。即座に定価の4〜5倍の値でメルカリなどに出品され、既に売れたものもあった。

ところが、オンラインストア「ちいかわマーケット」の公式Xアカウントが、その日の夜に、「『#ちいかわ×#MLB TOKYO SERIES』たいへんご好評につき受注生産が決定!詳細は後日おしらせ」と受注生産する予定を発表。転売しようとした出品者は軒並み値下げする羽目となった。

転売は、貴重で入手が困難なもので行われる。受注生産にすれば、メーカー側は必要量の販売ができ、ほしい人が適切な値段で購入できるようになる。転売対策としては、単純だが効果的な方法なのだ。

記名式チケット、マイナカード認証も登場

メルカリではチケット類の販売も可能だが、禁止事項として「転売目的で得たとみなされるチケット」「記名式チケットや、個人情報の登録のあるチケット」などが挙げられている。

日本三大花火大会の一つ、新潟県長岡市で毎年8月に開催される「長岡まつり大花火大会」では、このような条件を念頭に置いて、今年から有料観覧席チケットを購入者の名前を印字した記名式で販売する。観覧席は例年抽選で販売されるが、高額転売が問題となっており、対策として講じたものだ。

デジタル庁も黙ってはいない。マイナンバーカードを活用し、アイドルグループのライブチケットの不正転売を防止する実証実験を行っているのだ。マイナカードによる本人確認により、複数のアカウントによる大量購入等を防ぐことを目的としたものだ。

実証実験は、「モーニング娘。’25 小田さくらバースデーイベント ~さくらのしらべ 14~」(3月21日)と「Hello! Project ひなフェス 2025」(3月29日、3月30日)で行われた。マイナカード情報を登録した来場者は、QRコードと顔認証で専用ゲートを通過して入場した。

ひなフェス自体はマイナンバーカードを使わない紙チケットでの販売もあったため、不正転売が発生。約300枚の不正転売があり、定価9600円のところ、最も高いものでは7万円となっていた。ところが、マイナンバーカードを使った電子チケットでは、初日の第1回目公演で不正はゼロだったという。