部下が会議でなかなか発言しない原因は、上司の問いが悪いことかもしれない。「良い問い」の立て方や考え方など、会議を盛り上げる数々のテクニックを安斎勇樹さんに聞いた。
会議をする人々
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議論を停滞させる「悪い問い」の正体とは

会議の最初に「今日は自由に意見を述べていい」と言ったのに、みんなが押し黙ったままで盛り上がらない。仕方なく自分が話の口火を切るが、参加者の反応は鈍く、時間だけが過ぎていく――。

よく見かける光景ですが、これを「最近の若い社員は主体性がない」と責めるのはお門違いです。会議が盛り上がらない原因はさまざまですが、影響が大きいのは、ファシリテーター役を務める上司の「問い」の質。上司の問いが悪いと、しらけた会議になってしまうのです。

たとえば上司がプロジェクトの進捗が遅れていることを厳しく指摘したあと、担当者にこう尋ねたとします。

「どうすればよかったと思う?」

いっけん改善提案を求めているようですが、これは典型的な「悪い問い」。本当にアイデアを求めているのではなく、上司の中に「部下に言わせたい答え」があり、それを言わせてやりこめるための問いだからです。このような問いに対して「わかりません」と答えれば、「もっと考えろ」と追い打ちをかけられる。一方で、「早く報告すべきでした」と答えれば「なぜしなかったんだ」と怒られる。「これ、どう答えても詰むな……」と察した部下がげんなりするのは当然です。

どうしてこのような問いが横行しているのか。それは会社のマネジメントが長らく「軍事的世界観」で語られてきたからでしょう。

1930年代まで、経営の世界では戦略・戦術といった軍事用語はほとんど使われてきませんでした。しかし、大きな戦争を経験して、兵隊を管理する軍事的手法が経営の世界にも応用されるようになりました。軍事においては、兵隊は余計なことを考えず、上官の指示に従って突き進むことを求められます。戦後の企業経営は、その世界観で成功してきたわけです。

しかし、今や軍事的世界観は変化の時を迎えています。働く人々は「自分たちは兵隊ではない」と気づき始めています。そのような変化が起きているときに、軍事的世界観でマネジメントをすれば組織は瓦解するだけ。会議の運営や問いの中身も、参加者の多様性や主体性を尊重したものにしていく必要があります。

この世界観の変化を踏まえれば、会議を活性化させる「良い問い」の正体もおのずと見えてきます。それは「答えはわからないけど考えてみたい」という気持ちを相手に抱かせる問いです。たとえば、問い自体がユニークで好奇心を刺激し、答えにくいテーマでも心理的安全性が確保されているなど、相手が前向きな気持ちで考えることができるのは良い問いです。

【図表】会議の成否を握る問いの質とは