だから名店に入ってもらえた

先述したように、今月日本のフードコートがこのような状況の中、タイムアウトマーケット大阪がオープンしました。総面積3000平方メートル(約1000坪)で800席強という席数を持ちます。1フロアに17店舗と2つのバーが集まっていて朝11時から夜11時までの比較的長い営業時間です。

17店舗は、イタリアン、バーガー、メキシカンからうどん、ラーメン、焼鳥など。同じジャンルの被りはないそうです。それだけなら一般的なフードコートと同じです。

ここの最大の特徴は、どこも関西各地の名店や人気店、行列店、いわゆるビブグルマン的な店なのです。なぜ、チェーン店ではない、多種多様な超人気の繁盛店を集めることができたのでしょうか。

まずは店舗の統一感です。

同店の小林太郎GMが語ってくれました。

「大阪には阪急三番街をはじめ、本当にたくさんのグルメスポットがあります。いろんな物が同時に楽しめるというフードコートはキタにもミナミにも郊外にもたくさんあります。そのような中で周辺との違いをだすには、ある種の統一感が必要だと思っています。

店としての統一感だけでなく、グラングリーン大阪という施設全体との調和、大阪の街との融合が必要です。さらに、そこにはタイムアウトならではのデザイン性、イベントやショーなどの体験など、従来の施設では経験できなかったような提案が必要だと感じています」

タイムアウトマーケットの小林GM
撮影=プレジデントオンライン編集部
タイムアウトマーケットの小林GM。

いい店が集まると人も集まる

フロア全体の雰囲気は「大人の雰囲気」であり、しゃれた店内。これまでのフードコートにはない、「落ち着き」があります。出店者のほとんどは一流のお店ですから、自身のお店のブランドを毀損しない雰囲気に引かれた方も多いでしょう。

さらにタイムアウトマーケットでは事前に基本的な厨房設備を設えて店舗内装を整えた上で、各店に出店してもらっています。基本的な厨房設備が整っているという点で、出店費用を抑えることが可能になります。

こうした点がタイムアウトマーケットが質の高い店を誘致できる理由になっています。

また、2025年でもっとも注目を集めるグラングリーン大阪にあることで、スタッフの採用もすすめやすいといった利点も見逃せません。

グラングリーン大阪南館は世界最大級の巨大な都市公園「うめきた公園」に併設する。
撮影=プレジデントオンライン編集部
グラングリーン大阪南館は世界最大級の巨大な都市公園「うめきた公園」に併設する。

従来は路面でしか経営してこなかった有名店が「ここならば!」とインショップ出店を決めたのもうなずけます。

実際、奈良の大和八木で話題の和牛専門の肉割烹、「#肉といえば松田」の代表・増田真志さんは「出店したのは、やはりクオリティの高い店が一堂に会している中で一緒に店をやってみたかったこと。他のフードコートとは、ハード面のデザイン性も含めて、かなり違うと感じました」と話します。

筆者撮影
「#肉といえば松田」の店舗。

結果、名店で集客力を持っている店を集めることができ、それらが17店舗集まったことで、相乗効果が生まれ、集客を期待できるのではないでしょうか。