決して今のフードコートに満足していない
限界① 満足度は上限値
マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングが実施した調査「フードコートに関する調査2024」に興味深い結果が紹介されています。
フードコートの魅力について、安く食事ができる、気軽に入れるというポジティブな意見が多い一方で、ネガティブなものとしては「席の取り合い」「騒がしさ」などがあがっていました。みなさんも同じような意見なのではないでしょうか。
行ってみたいフードコートのアンケートを見ると、清潔感や落ち着いた雰囲気、「無料Wi-Fi」「その土地ならではの料理や食材が楽しめる」「おしゃれな雰囲気のお店がある」ようなフードコートを望んでいる意見が目立ちます。
フードコートには多くの人が訪れた経験があり、かつ愛着を感じてはいるものの、もっといいフードコートがないかを探している消費者の欲求が見え隠れしています。
なぜ同じようなフードコートばかりなのか
限界② 失敗したくないデベロッパー
日本SC協会のSC白書によると、日本のショッピングセンターの業種別構成のうち飲食テナント割合は2割程度となっています。物販テナントが2015年度→2023年度で64.5%→61.3%と割合を下げる中で、飲食テナントの数字は同期間で18.1%と変わっていません。
飲食テナントはSC全体の集客に貢献してくれるので、デベロッパー側としては、フードコートやレストランを強化します。とはいえ何でもいいわけではなく、確実に集客できそうなテナントで固めたくなるのは開発担当の心情です。
結果的に大手や多店舗チェーンなど、どこにでも見かけるブランドに頼らざるを得なくなっているのです。
限界③ 高い賃料
続いて2022年のSC出店テナントの平均月額坪あたり賃料(家賃+共益費含む)を見てみましょう。物販で2万5594円/月坪に対して飲食は2万8874円/月坪と、物販に比べて3000円以上高くなっています。
飲食は物販に比べて粗利が高いことから賃料が高い設定になっていることが多いのですが、坪あたり家賃が高くなると、当然、売り上げも高くなければ家賃を吸収できません。
また、飲食は「固定家賃+歩合」で契約するケースも多いため、売り上げが上がればさらに家賃が高くなるというジレンマもあります。こうなると個人経営の小さな店舗や地元の店舗は出店したくてもなかなかできません。
さらに飲食業態は出店時には厨房含めて内装費用もかさみます。
このようなことから、一般的なフードコートは「いつかどこかで見たことがある店ばかり」という代わり映えのしないフードコートになっていく。それゆえ、消費者に飽きられ始めているというのが実態です。