脳の働きが落ちているサインとは
思考系脳番地が最もよく休める時間は、睡眠の前半、入眠から4~5時間までの間に起こりやすい「ディープスリープ」と呼ばれる深いノンレム睡眠の時です。
「ノンレム睡眠」は、睡眠の前半に、「レム睡眠」は睡眠の後半により多く出現します。
パソコンは長時間起動しているとパフォーマンスが落ちて、再起動を行うことがありますが、まさにこのディープスリープは脳にとっての再起動までの充電時間であるといえます。
夜、人の話を聞くのが面倒になったり、本を読んでも思うように頭に入ってこなかったり、考え事をしてもなかなか結論にたどり着かない……そんな時は、脳の働きが落ちているサイン。あなたの思考系脳番地は、休息を欲しています。
おおよそ夕方6時以降、このサインに気づくような意識づけを行いましょう。先程の脳の活性度のグラフで、日中の脳の活性度が高い人ほどこの「落差」に気づきやすいものです。逆に自称夜型の人はピークが低いため、パフォーマンスの低下に気づきづらいところがあります。
夜になって、思考系脳番地が休息サインを出してきたら、可能な限りその日はさっさと休息を取るようにしましょう。なかなかはかどらなかった難しい課題も、翌日の脳のパフォーマンスが上がった状態であれば、的確に進めていくことができるはずです。
「歳を取ると眠れなくなる」はウソ
加齢とともに睡眠に関する悩みを訴える方は増えていきます。寝付きが悪い、すぐ起きてしまう、寝ても疲れが取れないなど、質の良い睡眠が取れないことを「歳のせいだ」と思っている方は少なくないことでしょう。
実は脳が休めていないのは「日中よく動いていない」から。脳がしっかりと休息をとるためには、日中にきちんと脳を使うことが大切なのです。
おすすめの方法としては、朝に運動系脳番地を動かすこと。運動系脳番地は、脳の動きが悪い時に動かすと、率先して他の脳番地を目覚めさせる力を持っています。
朝にウォーキングやジョギングといった軽い運動を30分~1時間程度行うことで、脳全体は活性化します。
私自身も朝のウォーキングを欠かさないようにしてから、60歳を超えた今、睡眠時間を6時間前後から9時間弱程度にまで約3時間延ばすことができています。
現在、成人では、平均8時間以上の睡眠をとることが推奨されています。
睡眠時間を十分に確保することで、次の日の脳のパフォーマンスが向上し、日中を活動的に過ごすことで、夜もまた眠れるという好循環を得られます。
最初は日中の行動を変える必要があるかもしれませんが、まず1週間だけでも睡眠時間をいつもより「30分」延ばすことから始めてみてはいかがでしょうか。