管理職の求人は増加傾向にあるという。だが、年収アップするケースは少ない。好条件で転職した3人から、成功法則を探った。
“転職モテ会社”はP&G、トヨタ、三菱商事
俗に「35歳転職限界説」という。確かに35歳以上の採用は何らかのニーズや空いたポジションの充足のために実施され、ポテンシャル採用は行われないので若い層よりも転職は難しい。
ただし、実際には35歳以上で転職し、キャリアアップにも年収アップにも成功した人は存在する。では、成功するのはどんな人か。年収1000万円以上の求人に特化した会員制転職サイト「ビズリーチ」を運営するビズリーチの南壮一郎社長は語る。
「従来、大企業は終身雇用で管理職の中途採用はあまりなかったのですが、最近は増えています。ビジネスモデルの移り変わりが早くなり、既存の人材だけでは対応できなくなったからです。いま、転職市場で需要があるのは新しいビジネスや技術に対応できるような高度な専門性を持った人。特にウェブアプリの開発ができるエンジニアや基幹系システムに携わるエンジニアは圧倒的に足りません。それからグローバルビジネスの経験者。海外駐在経験や海外企業との交渉経験のある人が求められています。そしてプロジェクトマネジメントや企業経営の経験がある、経営能力の持ち主です」
まとめると、いま35歳以上の転職市場における“モテ要素”は高度な専門性、グローバル対応力、マネジメント力の3つということだ。
「3つの要素を満たした経営幹部などへの転職は、年収5割アップを超えるケースもあります」(南氏)。
企業名で言うとマーケティングに強いP&GやGE、「カイゼン」のトヨタ自動車、グローバル展開する三菱商事、三井物産をはじめとする大手総合商社の出身者などは人気が高い。逆に会社のジョブローテーションに翻弄されて専門性を身に付けられずにいたり、国内ルートセールスに従事していたような35歳以上が転職で成功するのは難しいという。