▼坂之上洋子さんからのアドバイス

私の場合、仕事のオファーをいただいても、いきなり取りかかることはありません。先日、ある企業から新体制になるのでリブランディングをしてくれないか、とのオファーがありました。すぐにブランドステートメントやウェブのリニューアルなどの実作業に入るのは簡単です。しかし私はあえてヒヤリングにかなりの時間をさきました。

その結果、新しく就任する社長が本当に求めているのは、社員の自主性をどう引き出すかであることが見えてきました。いま、このプロジェクトでの私の仕事内容は、新社長が最初に思い描いた内容とはかなり違ってきていると思います。

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上司を悪く言うのでなく、黙って超える(※)

相手が本当に望んでいるものは何か、それは本当に必要なのか。どうすればベストなのかを考え抜くこと。たとえば、その仕事では私よりも最適な人材がいると思えば、正直にそう伝え、その仕事を譲ります。短期間では私は損をするかもしれませんが、大切なのは、それによって最良の結果が生まれるということです。そういうことを真摯に続けていくことで、まわりと深い信頼関係をつくることができるのではないかと思います。

プロジェクトというのは、ダンドリと人がすべて。それぞれの作業をどの人にどう頼むか。その下準備(根回しも含めて)をしないうちに走り出すと、かえってスピードが鈍ります。私はゴールまでの半分はダンドリにあてるくらいのつもりで、しっかり準備するようにしています。プロジェクトにぴったりの人たちが、気持ちのよい状態で集まっていれば、仕事は自然に勢いがついて前に進みます。

坂之上洋子
米国と北京で15年以上生活後、東京へ。ブランド戦略、企業の経営戦略、NPO戦略等多方面で活躍中。建築デザイナーとしての受賞歴を持ち、「Newsweek」の世界が認めた日本女性100人の1人。著書に、人気のtweetを集めた『結婚のずっと前』。

(図版※注:gooリサーチとプレジデント編集部の共同調査により、「時間とお金」に関するアンケートを、2011年11月15~17日の期間で実施。個人年収500万円台と1500万円以上のビジネスパーソン計613人の有効回答を得た。)

(構成=村上 敬 撮影=葛西亜理沙)
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