なぜ中学受験は親子ともにしんどいのか。医学部予備校エースアカデミー代表の高梨裕介さんは「ある『思い込み』が、中学受験をしんどいものにしてしまっている元凶だ」という――。

※本稿は、高梨裕介『合格したいなら「中学受験の常識」を捨てよ』(日本能率協会マネジメントセンター)の一部を再編集したものです。

居間で宿題をしている日本の子供
写真=iStock.com/mapo
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「難関中学に合格した人の勉強法」をマネして大事故に

×中学受験では親の情報収集力が重要

○「なんとなく効果がありそう」に飛びつくと失敗する

「中学受験」と検索すれば、プロのアドバイスや先輩ママの合格体験記、現役受験親の受験戦略法などなど、たくさんの情報が目に入ってきます。

「中学受験は算数が得意な子が有利。だから、とにかく算数を鍛えろ」
「志望校の過去問は10年分やるのが鉄則」
「難関中学を目指すなら、この問題集をやるべき。うちの子はこれで合格した」

これらの情報を日々追いかけていると、あれもこれもやらないと合格できないのではないかと錯覚してしまいます。

しかし、多くの情報は間違っているし、本当に効果があるものはほとんどありません。

特に注意が必要なのは、難関中学に合格した人が教える勉強法です。これは個人的な体験談にすぎず、マネをすると大事故につながる恐れがあります。

たしかに、その方の生徒さんやお子さんは、そのやり方で難関中学に合格できたかもしれません。でも、よく話を聞いてみると、もともと成績がよい人が「たまたま」やっていた勉強法であることがほとんどです。

つまり、そこに因果関係はないのです。「○○をしたから成績が伸びた」ではなく、「成績のよい人がたまたまそれをやっていた」ということですね。

「成績が一気に上がる」魔法の勉強法はない

現状が理想通りではないときは、「なんとなく効果がありそう」なものに飛びつきたくなるものです。

それが、短期間で効果的と言われればなおさら。「バナナダイエット」や「りんごダイエット」などがまさにそうですね。でも、これをやってダイエットが成功したという人は一体どれだけいるでしょう?

多くの人は失敗に終わっていませんか?

やはり、体重をコントロールするには、規則正しい食生活と適度な運動といった基本を行うことが大事。

勉強もそれと同じで、「これをやれば成績が一気に上がる」なんて魔法の勉強法はありません。大事なのは、新しく習ったことをしっかり覚え、テストに対応できる処理能力を上げること。つまり、「暗記」と「習得」以外の方法はない。

小手先のテクニックばかり身につけても、成績が伸びるわけではないことを覚えておきましょう。