※本稿は、菊池洋匡『中学受験 親がやるべきサポート大全』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
「家庭の方針」「本人の性格」を重視すべき
【×】現在の子どもの偏差値を軸に、その偏差値近辺の学校をたくさん見て、それぞれの校風・条件を比べる(偏差値表を横に見ている)。
→受験直前になって合格可能性が低いことに気がついた場合、焦って学校を探し直すことになる。急ぐあまり納得のいく学校探しができず、不本意な進学や、受験全落ちの結果に直面する。
【○】偏差値帯をバラし、校風や求める条件を軸として学校を探す(偏差値表を縦に見ている)。
→本人の成績がどう推移したとしても、満足のいく形で受験を終えることができる。
本書『中学受験 親がやるべきサポート大全』では「校風を見て学校を選ぼう」「偏差値は学校の人気を表すものであって、わが子にとってどれだけの価値があるかを表すものではない」という話をしてきました。第1回で偏差値思考の落とし穴も確認しましたね。偏差値だけではなく、学校の校風がご家庭の方針に合っているか、本人の性格に合っているか、という点をしっかり考えて探すのが大事です。
ただ、偏差値はもちろん無視できない大事な情報です。偏差値を正しく適切に使えば、わが子の意欲を高めた上で、安心して受験にのぞめるようになります。
4~5年生の偏差値は当てにならない
偏差値の使い方で、よくやってしまいがちな間違いは「わが子が取った偏差値の学校を探す」というものです。「わが子の模試の偏差値は50だから、偏差値50近くの学校を見て回ろう」ということです。いたって普通のことに思いますよね? ですが、これこそが間違った選び方なのです。主な理由としては以下の3点が挙げられます。
偏差値は変動するものです。最終的に大きく伸びて志望校に達するかもしれませんし、ずっと伸び悩むかもしれません。下がっていってしまうかもしれません。最後まで大きな波を繰り返し続けるかもしれません。偏差値が変わるたびに学校を探していたらキリがありませんね。そこで志望校の決定に使う材料は、6年生1年間の平均偏差値です。
一方、志望校を探すのはもっぱら4~5年生のころです。しかし、この時期の偏差値をもとに学校を探したとしても、その後、偏差値が変動する可能性はいくらでもあります。上方修正するならうれしい悲鳴ですが、下方修正する場合は苦しいものです。
6年生の後半になってから「昨年見た学校は厳しいから、偏差値帯を下げて学校を探す」となると、「退却感」がまず嫌な感じですし、そういう気分で見た学校は、どれもどこか微妙な感じがして、みすぼらしい学校に見えてしまいます。ですから、校風や環境をもっと冷静に、客観的に見られる4~5年生の時点で、下に広く見ておいたほうがよいのです。